2つの考え方 ~ 能力か努力か

2つの考え方 ~ 能力か努力か

2つの考え方

Two mindsets

考え方は人それぞれ、その人の性格や育った環境、教育、人付き合いなどから自然と身についていくものだろう。でも、もしその考え方の違いで、その先の未来が大きく変わってしまうとしたら…今回は考え方というお話。

未来が変わると言ったら大袈裟かもしれませんけど、こんな事を言った人が居ますよねぇ。

心が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる
運命が変われば人生が変わる

スイスの哲学者アンリ・フレデリック・アミエル(Henri Frédéric Amiel, 1821年9月27日-1881年5月11日)の言葉ですが、こう考えればあながち未来が変わらないとも限りません。

スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドウェック(Carol Susan DweckWikipedia)氏は著書『Mindset: The New Psychology of Success』の中で、こんなことを書いています。

大人と子どもの両方を対象とした20年におよぶ研究で「人格や知性は本人の生まれ持ったものではなく、成長させることができる」と信じることが、大人にも子どもにも著しい変化をもたらす

著書の中では2つの考え方があります。Fixed vs. Growth(固定された考え方と成長する考え方)です。

固定する考え方とは端的に言えば「無難な考え方」で、他人の評価が前提となっています。例えば「自分は失敗していないか?」「賢く見えるか?」「受け入れられているか?」「勝者か、負け犬か?」ということに重きを置いて行動する傾向があるため、冒険をせずにソツなくこなすことを選択します。

成長する考え方とは端的に言えば「チャレンジ」で、秘めた潜在能力を信じることが前提となっています。例えば、人によって持っている素質は様々で、誰もが経験や教育を通じて素質を育てたり変化させることが可能だと考えているため、より学べる方を選択します。

小学生の実験では、簡単なパズルと難しいパズルがあった時、前者は簡単な方を選択して確実に成果を上げようとし、後者は難しい方を選択してそこから何かを学び取ろうとします。

業務ではどのような違いが出るでしょうか。

前者は無難にこなせる提案を行い、トラブルが起きたら早い段階で諦め、ネガティブな発言は無視します。どこかの上司が思い浮かんできませんか?
逆に後者はチャレンジする内容を提案し、トラブルが起きたら積極的に対処し、ネガティブ意見にも耳を傾け、次の課題として受け止めます。どこの上司も思い浮かびませんね。

この著書ではこんな実験結果も書かれています。チームを2つに分け、IQテストを行い、結果について誉めるという実験です。
一方には「わぁ、○点も取ったんだね!いい点じゃなぁい。あなたはとっても頭がいいわ!」
もう一方には「わあ、○点も取ったんだね!いい点じゃなぁい。あなたはホントによく頑張ったわ!」
前者は能力を誉め、後者は努力を誉めるわけです。

その後、難しい問題を与えてテストした結果、前者つまり能力を誉められた「固定された考え方」のグループは自分のことを頭が悪く、才能がないと考える傾向が強く出たというのです。

この実験結果を振り返ってみて、みなさんはどう感じました?ご自身が育ってきた環境は正にこういう状況だったのではないでしょうか。僕自身、こう育てられたような気がしています。

もっと大きく言えば、日本の教育ってこういう事なんじゃないかって思うんです。本番に弱かったり、評価を異常に気にしたり、結果が出ないと叩かれたりするのは、実はこういう背景から起こり得る、一つの結果なのかもしれないと思うわけです。

上司や育てる立場の方はどうでしょう。能力ばかりを誉めてないでしょうか。努力は認めてるでしょうか。もし、その後の人生を変えてしまうとしたら、いや良い方向へ変えられるとしたら、考え方を改めなければなぁと自戒を込めて思うわけです。

2つの考え方

というお話でした。

~ 本文で紹介された書籍をご紹介 ~

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