風が吹けば桶屋が儲かる ~ 良くも悪くも波及する

風が吹けば桶屋が儲かる ~ 良くも悪くも波及する

風が吹けば桶屋が儲かる

Butterfly effect

きっかけはほんの些細な事。それがやがて大きなうねりとなって予想だにしなかった結果をもたらす。それは意識してるか否かに関わらず動き出したら止められない。でもそれは悪い方ばかりではなく、良き方向に作用することもあるので、そう落胆したものでもない。今回は組織のケアについてのお話。

組織というのは当たり前ですけど人が集まって形成されます。そしてこれまた当然ですけど、人が集まれば集まる程に良き効果も悪い効果も発生する要因が増えます。それぞれの思惑や主張、考え方などの違いによって生じるちょっとしたズレから始まり、それ自体は正常で避けられないことだと思います。

「風が吹けば桶屋が儲かる」ってことわざがありますよね。

風が吹くと砂ぼこりが立つ → 砂ぼこりが目に入って視覚を失う人が増える → 三味線が売れる※ → 三味線の皮の材料として猫の皮が必要となって猫が捕獲 → 猫が減るとネズミが増える → ネズミが増えて桶がかじられる → 桶が売れる

※ 江戸時代、三味線弾きは視覚障がい者の代表的な職業だった

風が吹いただけなのに桶屋が儲かるなんて誰も考えない結末ですよね。

1972年 アメリカ科学振興協会で 米気象学者 エドワード・ローレンツ(Edward Norton Lorenz、1917年5月23日 – 2008年4月16日が、これと似たテーマで講演しました。

ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?

バタフライ効果 (butterfly effect)

予測も測定も不確定要素も多い中で竜巻が起こると断定してるわけではなく、その可能性について考えるというもので『 バタフライ効果 』と呼ばれ、ことわざと同じように一般的な引用として使われるようになりました。

組織内のバタフライ効果

風が吹いたら、あるいは蝶々が羽を羽ばたかせたら。バタフライ効果を組織に置き換えて考えてみましょう。これに該当する部分を例えば、ある人物がイライラしていたら?に置き換えてみる。そのイライラは隣や周囲の人に伝播し、組織内の空気がピリついて些細なことがきっかけで爆発する。
これが組織外で起これば炎上とか犯罪につながることもありえます。ムシャクシャしてやった的なやつ。

逆にある人物がニコニコしていたら?に置き換えてみると、そのニコニコが周囲に影響して、ちょっと幸せな気分になったり優しい気持ちになったりして、その日一日が平和に和やかに過ごせる。
組織外でそれが起こると商談がまとまったり、停滞していたものが進み始めたり、課題や問題がクリアになる。

どちらが有益かは明らかですよね。

でも気分が良いときもあれば悪いときもある。悪いときに無理に抑え込むと副作用で爆発しかねない。悪い状態を良い状態に無理やり転嫁させるのも善し悪しです。

好きで気分が悪かったり落ち込んでるわけじゃないので、時間が解消する類のものならいいでしょうけど、吐き出さないとスッキリしない猫の毛玉のようなものを吐き出せない苦しさを、いつまでも抱えているのはシンドイでしょう。
なんでもポジティブに考えようとか、つらい時こそ笑顔で!とかとか、なんとなくそういうアドバイスをあちこちで見かけるような気がしてモヤっと、いやイラっとすることがあります。

組織としてやるべきは、話せる「場所」や話せる「時間」といった環境をつくることが課題であり、無理やり思いや考え方を押し付けたり封じることではない思うのです。「ねぇ、ちょっと聞いてよ!」って吐き出せる環境こそが理想郷ですよね。

コロナ禍でにわかに進んだテレワークやリモートという働き方、フリーランスになって一人で活動する人が増える中で、みんながみんな自己完結できたり器用に立ち回れるわけでもありません。
一般的な企業でテレワークが思った以上に波及しないのは、このケアが難しいからとされています。

仕事に於いて馴れ合いや緩くつながるとか、責任を持たない組織形態に賛同することはありませんが、一人で作業する環境はマイペースで気兼ねなく、そういったストレスはなくなる反面、生活とより密着して境目がなくなったり、困った時に助けが得られない側面も一方ではあります。

吐き出せずに負の感情を溜め込みやすい環境に陥らないように、困ったときは誰かを頼ってその分誰かが困ってるときに助けられる。どうせ蝶のように羽ばたくなら、バタつかずに優しく優雅な羽ばたきを見せたいものです。

そうすればきっと桶が売れるはずです!

…あれ?

風が吹けば桶屋が儲かる

というお話でした。