逃げ水 ~ 夢は追い続けるもの

逃げ水 ~ 夢は追い続けるもの

逃げ水

Inferior mirage

梅雨はまだ明けてないけど暦の上では夏の真っただ中。なんとなく、感覚的には梅雨が明けたら夏って気分になるけど実際は梅雨の中間あたりが夏至で、調べてみたら俳句でも梅雨は夏の季語らしい。今年は東京オリンピックが開催される。いろんな制限や制約の中、やると決めたら選手の晴れ舞台を開幕~閉幕まで無事に楽しませて欲しいと思います。夢を追い続けるというお話。

毎年この時期になると面白い気象現象が起こります。ある一定の条件が揃うと起こる現象なんですけど、車を運転してると少し先の路面が濡れてるように見えることがあります。実際には濡れてないんですけど、そう見える現象を” 逃げ水 ”と言います。

蜃気楼の一種で、晴天の路面温度が急激に上昇して異常な高温になると、大気が屈折して路面が濡れてるように見える現象が起こります。車を走らせ、その遠くに見える濡れた路面がある辺りに差し掛かると路面は濡れていない普通の道路。面白いのは濡れた路面に差し掛かったころには、その濡れた路面は遥か先に移動している、つまりその水たまりがあたかも逃げてるように見えるところです。

追っても追っても追いつかない。捉えたと思っても目を前方に向けるとまた遥か先に逃げて行ってしまう。まるで夢を追いかける自分自身のように。

例えば何かを成し遂げるために目標を立てたり、夢を実現させたい時、このレベルまでスキルを上げたい、技術を極めたい、人間関係を築きたい、できなかったことができるようになりたいという願望があって、それをモチベーションに一歩ずつ進めます。しかし追えば追うほど、あれもこれも足らない部分が見つかり、手の届きそうなところまで近付いていたはずなのに、気付いたらまた少し遠くに離れていってしまう。不甲斐なさにガッカリします。

ここで諦めて挫折する人も少なくないでしょう。でも飽き性で面倒くさがりな僕はこう思うのです。果てしなく遠い場所に目的地があったら、恐らくそこに留まったままスタートすら切らないだろう。
またこうも思います。もし仮に逃げ水を捉えることができたら、その時点でこの旅は終わってしまうと。

目指そうと思わせる適度な距離に逃げ水はあって、その位置に辿り着いた時には当初の目標は達成されていて、また次の目標へとモチベーションを高める手助けをしてくれる。
目的地が視界に入らずガッカリしたときは自分が進んで来た道を振り返ってほしい。
始めたときのスタート位置より確実に進んでいるし、できることや理解力が増してることが実感できると思います。

道を進めば見える景色も変わる。逃げ水は当面の目標を指し示し、夢や目標の通過点でしかないので、辿り着いたら一旦休んで振り返り、一足先の目標地点で待ってくれているのかもしれません。

暑いのでそんな妄想をしながら、当面の目標クリアをビール片手に独りで労おうと思います。

逃げ水

というお話でした。