ウサギとカメ ~ クリエイターは何と闘う

ウサギとカメ ~ クリエイターは何と闘う

ウサギとカメ

The Hare and the Tortoise

これまで多くのクリエイターに話を聞くと、他人と比べて自分は劣ってると自己評価が低い人が割と多い。特に駆け出しの頃は、Twitterで他の人のつぶやきを見ては、置いて行かれてるような焦燥感や思うように進めてないジレンマから、嫉妬したり、落ち込んだり、自己嫌悪に陥ったりする。今回は目標の置き所というお話。

あまりにも有名な童話『 ウサギとカメ 』。童謡としてもよく知られたこの話。あらすじは言うまでもありませんが、のろまなカメを挑発したウサギが油断して居眠りをしてる間にカメに抜かれて競争に負けるという話。ちなみに明治時代の教科書に載った時のタイトルは『油断大敵』だったそうです。まさに、この話の教訓は油断しないことだったり、コツコツと歩みを進めること。

しかし最近では別角度からの見方もあるようです。ウサギとカメの考え方や勝負に向き合う時の姿勢に違いがあるというものです。

経験と実績そして称賛

さて冒頭の話ですが、自信の無いクリエイターは何故、自己評価が低いのでしょう。大きくは2つの理由が考えられます。まず1つは経験と実績が少ないこと。これまでの積み重ねで紆余曲折がありながらも成功体験を繰り返すうちの成功への道程が身につき、それが自信へと繋がっていきます。さらに僕が思うのは失敗をすることで失敗しない方法を手に入れる子tができるので、より大きな、確固たる自信へと成長すると考えています。

経験がない、少ないということはそれだけ成功した実感が少ないということで、当然のことながら任された仕事や業務をやり遂げられるか不安になり、迷いが生じたり、自己ハンデキャップが発動されやす状況になるのでしょう。

そして2つ目は称賛です。クリエイティブの場合、正解は1つではありません。故に完成する前も完成した後も、それがホントに正しい選択だったかどうか、もっと他に方法があったかもしれない、最善を尽くせたのだろうかという不安が残り、完成させたという達成感はあるものの少し時間が経過すると、直したくなったり別のアイデアが浮かんできたりとモヤモヤしてる人も居ます。

その時、「それでいいんだよ」っていう外の人の声がたまらなく嬉しかったりします。クライアントやユーザーからの声、とりわけ尊敬する先輩や同僚、同業者からの評価はそれだけでそれまでの苦労が昇華される至福の時と言えます。

しかし褒めることに慣れてない日本人はなかなか他人を褒めないばかりか、社交辞令だと考えてしまう哀しい習性がある民族なので、悲しいかな素直に受け入れられないケースもあったりして、褒め合って伸ばすような環境づくりをしなければいけませんね。

経験や実績で成功体験をつかみ、周りの人たちが称賛し、正当に評価することで自己評価が高まります。どちらが欠けても自信には繋がりません。

何と闘っているのか

ウサギとカメに話を戻します。競争や闘いに於いて油断大敵という教訓はごもっとも。ナメて負けるなど悔やんでも悔やみきれないですよね。

しかし最近このウサギとカメの争う姿勢に違いがあるとの新説がまことしやかに囁かれています。完全に後付けですけど、これがなかなかに面白い。

その前に自信が持てないクリエイターのみなさんは、いったい誰と何を争っているのでしょう。クリエイターになる前に志していたクリエイター像を思い出してください。
他クリエイターの作品を見たり、クリエイターの考え方に触れたり、新しいことをはじめたり、TwitterやInstagram, Youtube, Tiktokなどの投稿や配信を見ては誰かと比較して悶々とする。
はじめは好きなことや得意なことを仕事にしようと始めたはずなのに、クリエイティブで誰かの助けになりたい。それがいつしか誰かと競争することがミッションにすげ替わってたりして。

ウサギとカメの考え方の違いはそこなのです。どうしてカメはウサギに勝てたのでしょう。勝負は最初から決まっていました。ウサギとカメは見ている目標が違っていたのです。

ウサギはカメに勝ちたいのでカメを見ていました。
ではカメは何を見ていたのでしょう。
そう、カメはゴールを見ていたのです。

他クリエイターを見てモヤモヤしているみなさんはウサギ、誰が相手だろうと自分らしさでゴールを目指すみなさんはカメ。

悔しかったり羨ましく思う気持ちはよくわかります。負けず嫌いな性格だと余計にそういう傾向はあるでしょう。それをマネても張りぼてでは勝負にならないし、結局それって相手の土俵で闘うことになるので勝ち目はありません。妬みだけでは成長が止まってしまいます。

であるならば自分にできないことを他クリエイターが実現したときは素直にリスペクトしつつ称賛し、自分のスタイルで静かな闘志を燃やしす。
闘う相手は常に自分の中にあって、クリエイターとしての目標は粛々と自分らしくゴールに突き進むこと。
その結果、周りに評価されたり羨ましがられるクリエイターへと変貌できると思うわけです。

ウサギとカメ

というお話でした。

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