練習の階級説 ~ 必要なまわり道

練習の階級説 ~ 必要なまわり道

練習の階級説

Plateau

この業界に居ると、新しい情報や新しい技術が次から次へと出てきます。それに着いて行こうと日々、情報を漁り、スキルアップにアップデートに勤しんでる。しかしスーっと入ってくるものもあれば、なかなか入ってこない、身に着かない時期ってありませんか?今回はスランプというお話。

どんなに天才や達人と言われる人でも、極めるまでには見えないところで努力していて、その過程では必ず苦悩や挫折、スランプがあって、それを乗り越えて身につけたからこそ、天才や秀才、達人で居られるんだと思うんです。何の苦労もなくその技術を習得したわけではなく、それなりに苦労をしている。僕たち庶民はそう思いたいですよね。

それを裏付ける説が実は存在します。心理学者ブライアント・ハーター氏は、一つの技術を習得するには意識や才能とは無関係に進歩が止まる「踊り場」のような場所があると言います。これを「練習の階級説」と呼び、技術は直線的に向上するのではなく、ある段階に達すると所謂、スランプに陥り進歩が一時的に止まるというのです。

この一時的に進歩が止まるスランプは「練習の高原(Plateau:プラトー)」と呼ばれ、進歩の上達具合をグラフで表すと、ちょうどプラトー(高原)のようになっているため、そう名付けられたそうです。

確かに、デザインにしてもコーディングにしても、ある一定レベルまでくると立ちはだかる高い壁が必ず現れて、暫くは足踏み状態になります。先に進みたいと思うジレンマと自分の不甲斐なさに凹んでる人は多いのではないでしょうか?
習得した技術を振り返って、随分と遠回りしたなぁって感じているかもしれませんが、この回り道は実は無駄な遠回りではなく、スランプを抜け出すために必要な工程のように思えます。

人によって習得の方法は様々だと思います。当然スランプへの対応も人それぞれ。壁にぶつかったと感じたときに、ある人は全く別の事をして気分転換を図り、また別の人は、関連する情報や関連する知識を身につける。
習得したい技術が常に傍らにあって、それをいつも考え、達成するために努力を続ける。その結果、壁を乗り越えて、また新たなチャレンジへとつなげていく。そういう事なんじゃないかと思うわけです。

そりゃ目の前の目標に最短距離で、直線的にズバッと辿りつければ申し分ないでしょうが、クネクネのらりくらりと道を蛇行しながら、寄り道しながら進んでいくことで、その技術自体の付加情報や関連知識が一緒についてきて、深みが出てくるような気がしませんか?

どんなに才能のある人でも避けられないスランプが必ずあり、それを乗り越えることができれば、技術を習得してまた一歩前進することができると言うのがブライアント・ハーター氏の説です。

そう考えると少し気が楽になります。スランプは必ず誰にでもある。スランプに陥ったら次の為の充電期間だと思って、足掻いてみるのも良し、じっくり周囲を眺めてみるのも良し、その行動は必ず報われると思えれば、技術の習得も楽しみながらできるような気がしますよね。

スキルを上げたいと考えてる人は、これからダンジョン攻略に向かおうとしています。タンスの引き出しや樽、宝箱など片っ端から漁って、出逢う人からいろんな情報をもらい、敵と闘いながら重要な手掛かりや必要なツールが揃ったら、その高い壁は意図も簡単にクリアできる。足踏みしてるのは何かが足りてないって事なのです。

周囲の人はそういう人を見かけたら、一緒にダンジョン攻略に出かけたり、知ってる情報を与えたり、必要なものを渡したりして協力してあげることもできます。決して急かさずに温かく見守ってあげる寛容さを見せたいですね。

練習の階級説

というお話でした。