セレモニー(式)について
The Funeral
僕は「式」と名の付くイベントが大嫌いなんです。ホントに面倒くさいし、出席したとしても、なるべく早く、いつどんなタイミングで帰るかばかり考えている人でなしで、式と名のつくものには呼ばないで欲しいと思ってます。セレモニー(式)というお話。
近しい人を祝ったり悼んだり弔ったりする気持ちが無いわけじゃないんですけど、それは個人的に祝福するし、哀悼します。形式的に進行することに違和感を感じるし、それをすることにどんな意味があるのかと思うんです。まぁ、人でなしに違いはないですけどね。
セレモニーっていったい誰のために執り行うのでしょう。例えば結婚式。結婚する2人のためですよね。お葬式本人のため?本人は亡くなってますから何が行われるかなど知る由もありません。
どちらも式自体はごくごく近親者でやればいいし、長々と退屈な能書きを聞くのは苦痛以外のナニモノでもありません。
大体、日本人は無宗教でありながら式と名の付くことには都合よく神様を引っ張り出し、その神に誓うだの無事あの世に送り届けるだの、信じても居ない神様にお願いすること自体が馬鹿げてると思うのです。結婚式は神社や教会でお葬式はお寺って、考えてみたら節操がないですよね。おかしな国です。
披露宴に至っては式ですらないし、ましてや大して知りもしない、いつ離婚するかわからない奴の披露宴など出席するだけ時間の無駄。
お葬式のお通夜も残された家族はそのあと大変なのに時間の無駄だって思ってました、つい最近までは。
先日、両親の古くからの友人が交通事故で亡くなりました。横断歩道を歩行中の不慮の事故でした。僕の親父はその日の朝、自転車で出勤するその友人と会話を交わしたそうで、それがその日の夕方には亡くなってしまうのですから、一報を聞いても俄かに信じがたいという感じでした。
その知らせは、ひょんなことから僕の母親も知らされることになります。別の用事で親父からその友人に電話をするよう頼まれた母親が電話したところ、なかなか電話が繋がらない。5回くらい掛け直してやっと繋がり、友人の奥さんが電話に出ました。この時点では何があったのか知らない母親は、親父に頼まれた用件を伝えると友人の奥さんは聞いてるのか聞いてないのか心ここにあらずの状態で、こういうのです。
ウチのおとうさん、さっき亡くなった・・・
母親は電話口で、えー!え!え!・・・驚きを隠せません。その後の言葉が出てこないのです。別の用事で電話して、予想だにしなかった事実を恐らく友人の家族以外で初めて聞かされたのですから、相当動揺していたのでしょう。電話を置いてから何故かやかんに火をかけたかと思ったら、直ぐに友人宅の奥さんのところに行くと出ていきました。親父もすぐにそれを聞きつけ、友人宅へ向かったようです。
顔が腫れあがったご遺体が葬儀所に運ばれてきたのがそれから2日後、1日でご遺体を綺麗にして事故から3日目にはお通夜、翌日には葬儀、そのまま火葬場へと流れるように進んでいきます。
事故が起きてから1週間で荼毘に付されてしまいます。
亡くなったのが急で、親戚も高齢のため東京に出てくることが困難ということで、家族のほか近親者2,3名と生前親交があった親父を含めた仲間で送ることになったようです。何年、十何年ぶりにお通夜で再開することになった、かつての仲間は同世代ということもあって、身につまされる思いがあったようです。「呆気なく逝っちまうもんだなぁ」と誰かが口にすると、今朝、言葉を交わしたことや運転手の不注意で亡くなったことへの怒りややるせなさを口々に言いながら、酒も進んで、思い出話や昔話など、場所が場所なら同窓会のような雰囲気にもなってきました。
そして最後に俺たちも気を付けような!もうちょっと長生きしような!と言って別れるのです。
セレモニーそのものへの考え方は変わりませんが、お通夜について言えば、不慮の事故や急逝したときに残された人が弔いながら現実を受け止めるためには、こういう時間や場が区切りとして必要なのかもなぁと納得はできます。
亡くなった事実を一番に聞かされた母親や半日前には元気で言葉を交わした親父にとっては衝撃的だったと思います。葬儀までの3日間は寝ても覚めても繰り返し友人の事故の話をしていました。
それ何回言うんだよ!ってくらい何度も何度も。
それがお通夜や葬儀、骨を拾うって一連の行為をすることで、メンタル的にスーっと受け入れられるようになるんだとしたら、それはそれで必要で意義のあることなのかも知れないなぁと、両親を見ていて合点がいったわけです。
僕が亡くなった時は墓もいらない、戒名などに無駄なお金を使わず、煩わしい葬儀はしていただかなくて結構だって思ってますが、これは僕の思いであって、残された人がもし受け入れられないのなら『残念会』っていう呑み会でも開いてワイワイ騒いでもらって忘れてもらいたいものです。
でもやっぱり、罰当たりと言われようと人でなしと言われようと、セレモニーには今後も『ご欠席』でお願いします。
セレモニー(式)について
というお話でした。