ABC理論
ABC Theory
他人が放つ何気ない言葉に心えぐられたりダメージを喰らうことってありますよね。相手はそんなつもりないのに、ネガティブに捉えちゃったり、あるいはチキン過ぎて聞くに聞けず、勝手にそう思い込んじゃってたり。そういうのやめたいって思っても性格や性質は変えられないですよね。今回は捉え方というお話。
僕らの感情や行動は、ある出来事によって引き起こされると疑いようもないくらい当たり前だと思っていますよね。でもその感情や行動をコントロールできるとしたらどう思います?
メンタルな治療に用いられる認知行動療法というのがあります。考え方を変えることで心の問題をクリアにするというものですが、その元になっている理論があります。
米:臨床心理学者 アルバート・エリス(Albert Ellis, 1913年9月27日 – 2007年7月24日)が提唱するABC理論によると、出来事と感情との間には、信念(捉え方)があると言います。ABC理論のA/B/Cにはそれぞれ意味があります。
A:Activating event(出来事)
B:Belief(信念,捉え方)
C:Consequence(結果としての感情や行動)

例えば、
A(出来事): デザインを提出するも返事が来ない →
B(捉え方): ダメダメすぎて盛大に修正やダメ出しを喰らうに違いない →
C(感 情): プロとして力不足を痛感して凹む、デザイナーに向いてないんじゃないかと思い悩む
クライアントへの提出ってドキドキするものですよね。ちょっと極端な例かもしれませんけど、自己肯定感が低い人は強ち大袈裟でもないかもしれません。
ABC理論のカギはB
このように出来事が感情に直結しているわけではなく、Bの信念(感じ方・捉え方)が間に挟まってることがわかります。C:感情や行動に影響するのはB:信念ということですが、この信念には2種類あると言います。
- 非合理的な信念
- 合理的な信念
非合理的な思考や感じ方、捉え方はネガティブな感情や行動に、合理的な思考や感じ方、捉え方はポジティブな結果をもたらすということなんです。つまり、起きてしまった事実A:出来事は変えることはできないが、B:合理的な信念を心がければCで良い結果をもたらすという認知行動がとれるというのです。
さらに、非合理的な信念には以下のような特徴があります。
- 根拠のない思い込み
- 論理的ではない思考
- 固定観念や既成概念
- 完璧・完全主義
例えばこういうケースは自分を追い詰め、苦しめてしまいます。
一般化・標準化へのこだわり
・また、前と同じだ
・いつも失敗してばかり根拠のない思い込みや関連付け
・あの人は私のことを困った人間だと思っている
・こんなことが起きたのは私の責任だ完璧・完全主義(べき論)
・何でも完璧にこなさないといけない
・失敗したら全て台無し
・こうすべき、こうあるべき、こうあるべきではない過大評価と過小評価
・あの人は何でもできる
・それに比べて私は何もできない
ここまで話してきたらもうお分かりだと思いますが、上の例のような考えに支配されないようにB:信念を合理的に置き換えることができれば、Cのもたらす結果がポジティブに変わるということです。
ただ、これは性格上、無意識に感じてしまうことなので、考えるなと言えば思考停止になってしまい行動できなくなってしまいます。だからと言って、信念のまま進めてしまえば無意識の後悔へと繋がってしまいます。では、どうしたらいいでしょうか。
2つあると思います。1つは脊髄反射のようにすぐに返さずに一旦、飲み込む癖をつけることです。習慣になるまでは意識的にやる必要があるでしょうけど、反す刀で後悔や反省をするのですから、一呼吸してから返事を考える余裕が落ち着かせてくれるでしょう。そのときにお勧めしたいのが、その返事をユーモアで返そうと考えてみることです。僕も実践してるんですけど、結構いいクールダウンになりますよ。
そしてもう1つは、いろんな人と絡む機会を増やすこと。何を話すでもなく、世間話でも仕事や趣味の話でもなんでもいいんです。他人の違う考え方や価値観に触れることが大切で、できるだけ知らない人がいいですね。お勧めなのはSNSのフォロワーさんとZoomなどで挨拶がてら情報交換なんていいと思います。
すぐ答えるんじゃなく考えながらです。そのうち「そういう考え方もあるよなぁ」って納得はしないまでも理解はできるレベルにまでなったら結構楽です。
ABC理論というテーマで取り上げるのは今回が初めてですが、実はこの理論だよね?っていう寓話やエピソードをこれまでのコラムで幾つか書いています。
みなさんもユーモアを以て、実践してみてはいかがでしょうか。
ABC理論
というお話でした。
~ 本文で紹介された書籍をご紹介 ~
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ゲツコーギルド合同会社 CEO兼プロデューサー
2016年に東京下町から瀬戸内の離島に移住。クリエイターの働き方や人財育成、再生、地域でのクリエイティブやICTを活用したブランディングや地域創生、事業再生を得意としたプロデュースやディレクションで活躍中。メガネ&広島弁や伊予弁など方言女子が大好物。個人的には懐古的なモノがスキ。ネガティブ属性だがユーモアを忘れない。1970年 江戸下町産。