無能な人

無能な人 ~ 勘違い野郎になるな

無能な人

Dunnig Kruger effect

ストレートなタイトルでスミマセン。自分の能力、スキルについて考えること、ありませんか?例えば就職や転職するときなど、必ず履歴書や職務経歴書に書いたり、面接で聞かれたりします。今回は勘違い野郎というお話。

ダニング・クルーガー効果をご存知だろうか。コーネル大学のデビッド・ダニング(David Dunning)とジャスティン・クルーガー(Justin Kruger)は、自分の能力以上に自分を高く評価するという認知バイアス現象を1999年に提唱、発表している。

みなさんの周りにこういう人って居ませんか?例えばコーディングのスキルもナレッジも周囲の評価では平均点以下なのに、自分だけはレスポンシブもパララックスもCMS実装も、何にでも対応できると過信して疑わない、極めて質が悪い人。

こんな人が上司や同僚に居るとウンザリするし、それを真に受けて仕事を任せようもんなら、結果を見てゲンナリします。

ダニング氏とクルーガー氏は、こういう人の特徴を4つ挙げていて、噛み砕いて平たく言うとこうなる。

  • 無能な人は、自身のスキルレベルを過大評価する傾向にある
  • 無能な人は、他人の持つ本物のスキルを正しく認識できない
  • 無能な人は、自らの無能力さがいかほどのものかを認識できない
  • こんな人でも、そのスキルのトレーニングを行うことで、それまでのスキル不足に気づき、それを認めることができる

どうです?具体的に身の周りの人物で思い当たる人が、より鮮明に浮上してきたのではないだろうか。

冒頭の就職や転職などのほか、営業で自社を売り込むときにも、多少オーバー目にPRすることはある。所謂セールストーク。でもこれには該当しない。なぜなら相手も多少、盛ってくることは折り込み済みの想定内。
お菓子作りでボウルの中身を計量するとき、あらかじめボウルの重さを知っておいて差し引くのと同じ・・・判りにくいかこの例え。過信したかも。

問題なのは本人は「できる」と思い込んでいて実際には「できない」って言うのが厄介で、この業界では意外とよくある。

例えば制作会社の面接でもクラウドソーシングでの商談でもいいが、クリエイターを選定しているシーンを想像してみましょう。
あなたは発注する側(クライアント)です。

「こんな感じのサイトを制作出来ますか?」

と、応募者(クリエイター)に尋ねると、恐らく

「できます」

と、いう返事が返ってくる。
そりゃそうでしょう。仕事が欲しいと思ってるわけだから。だけどこの「できる」は、応募者の感覚でしかないわけで、正確には「できるような気がする」ってこと。
デザインであればポートフォリオを見せてもらい、確認することが多いと思うが、これだってホントに応募者の制作物かは判らない。
コーディングに至っては、サイトを見ても応募者がどこを担当したのか、そもそも応募者が書いたソースなのかすら判断できない。
どこかで拾ってきたデザインやソースである可能性もある。

あなた(クライアント)には、それを見抜く能力はあるだろうか。応募者は盛ったPRをしているだけなのか、それとも本気で自分ができると思い込んでいるのか。

特にフリーランスには注意が必要。制作会社に勤めていたからと言って、その人が無能でない証明にはなり得ない。制作会社での実績は例えば、その制作会社のネームバリューや積み重ねてきた実績、人脈によって、あるいは営業力によって、案件獲得から始まり、ディレクターやデザイナー、コーダー、プログラマーなど、多くの人の協力、チームワークのよって成り立っている。例えそれが自分中心のチームであったとしてもチームや会社で勝ち取った功績であり、それが自分一人の手柄のように感じている時点で「勘違い野郎」なのだ。

つまり、独りよがりで自分の無能さを把握できない人。
こういう未熟な人が中途半端な仕事をして市場を荒らしていることは周知の事実だろう。真っ当に制作している人やスキルが足らないと自覚して、必死で独学やスクールでスキルを磨いている人たちにとっては甚だ迷惑な存在だろう。

読んでいただいているみなさんは、こういうことは無いだろうが、ダニング氏とクルーガー氏は無能な人の4つ目の特徴に救いを与えてくれている。
そんな人でもスキルを再認識させるトレーニングをしたら改められると。つまり、スキルの棚卸をして認識するところから改善できる。

この業界は特に流れが速いので、次々と新たな技術や情報が流れては消えていく。どの情報や技術を取捨選択し、得意分野をどのように深く掘り下げていくかでクリエイターの特徴や価値が変わる。
それが差別化に繋がり自己PRのネタになるわけだから、この業界でやっていく上では手を抜けない部分だろう。

知ったかぶりをして独りよがりになり、古い考え方に固執し、頑なになってしまう。若い人ばかりでなく、ベテランにこそ、こういう傾向にあるように思う。
新たな勘違い野郎を産みださないように、自分自身も勘違い野郎にならないためにも、自戒を込めて注意したい。引き際も含めてね。

無能な人

というお話でした。