チャーリー・ブラウンなぜなんだい?

チャーリー・ブラウンなぜなんだい? ~ 勇気を見せる時

チャーリー・ブラウンなぜなんだい?

Why? Charley Brown Why?

以前ここで『 ライナスの毛布 』という話を書いた。皮肉やなルーシーの弟で頼りなさそうなキャラだが、ライナスは正義感が強く、ときに哲学的な考えをする男の子だ。今回は勇気のお話。

ライナスには、いつもバスで一緒に学校に通う金髪が美しいジャニスという名の女友達が居る。ジャニスは最近、いろんなところをぶつけるとアザになってなかなか消えないことをライナスとチャーリー・ブラウンに話した。
数日後、ライナスたちはバスを待っていたが、そこにジャニスの姿はない。心配になったライナスは先生にジャニスのことを聞くと、ジャニスが入院したことを知らされる。

驚いたライナスとチャーリーは、ジャニスの病院にお見舞いに行くが、二人はジャニスから衝撃的な話を聞くことになる。ジャニスは白血病だったのです。
血液のがんで化学療法をしてるから、髪の毛が抜けちゃうことをジャニスから聞かされたライナスとチャーリーは、ジャニスが治ったら大好きなブランコで一緒に遊ぼうと約束して病院をあとにする。

そして病院の帰り道、ライナスはチャーリーに向かって泣きながらこう言うのです。

なぜなんだい?チャーリー。なんであの娘が白血病にならないといけなんだ!あの娘は何も悪いことなんてしてないのに

チャーリーはライナスの問いに何も答えなかった。いや答えられなかった。薄っぺらい返事はせず、返す言葉が見つからない状態をうまく表現している。

ライナスは帰ってから姉のルーシーにジャニスの話をすると「うつるから近寄るな」と言われ、すごく腹を立てて言い返す勇気を見せた。
いつもいじめられてるルーシーに毅然とした態度で立ち向かったのです。

それからしばらくして、つらい治療を乗り越えたジャニスは退院するが、療養のために周囲から特別扱いされるのを良く思わない姉妹やクラスメイトにいじめられてしまう。
ここでもライナスは、勇気を見せてそういう輩たちからジャニスを守り、かばい続けた。

そんなある日、ジャニスが脱毛を隠すために被ってた帽子をクラスメイトに剥ぎ取られてしまい、それに激怒したライナスは、そのクラスメイトに向かってこう言うのです。

ジャニスは白血病なんだぞ!がんなんだぞ!
病気を治すために化学療法をうけて、それで髪の毛が抜けちゃったんだぞ。
それをからかって楽しいか!

そのクラスメイトはバツが悪そうにジャニスに謝った。その後ライナスの勇気ある行動のお蔭で、病気に対する偏見や誤解はなくなり、ジャニスも快方へと向かう。

登場する人物がすべて大人に見えてきませんか。いや大人はもっと陰険で根深いので大人の方が質が悪いかも。
実はこの話、スタンフォード大学のこども病院で働く看護師さんが「がんと闘っている幼い子ども達のためにスヌーピーの力を貸して欲しい」と、スヌーピーの作者、 チャールズ・M・シュルツ 氏に手紙を送ったことがキッカケらしい。つまり実際に誤解も多かったようだ。

そして米国でアニメ化され、テレビでそれを見た日本人看護師が日本人医師の協力の元、日本語化されました。

ライナスは勇気をもってジャニスを守り、ジャニスはだいぶ経ってから、ようやくライナスと一緒にブランコで遊ぶことができるまでに回復した。

そしてジャニスは言います。

「ビックリさせたいコトがあるの。でも、まずブランコに乗りたいわ。押してよ。」ライナスはジャニスを高く高く上がるまで背中を押した。
「ビックリすることってなぁに?」とライナスが聞くと、ジャニスは帽子を飛ばして、キレイな金髪をふわっと風になびかせた。

チャーリー・ブラウンなぜなんだい?

というお話でした。

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チャーリー・ブラウンなぜなんだい? ともだちがおもい病気になったとき