よりどころの力
Security Blanket — Finding Your Anchor in a Stressful World
ライナスの毛布という言葉を、聞いたことがあるだろうか。漫画『ピーナッツ』に登場するライナスが、肌身離さず持ち歩く毛布のことだ。しかしこれは、単なる子どもの癖ではない。人が何かにすがりたくなる心理の、本質を突いている。今回は よりどころ というお話。
ライナスの毛布
ライナスの毛布は「安心毛布」とも呼ばれる。愛着や執着するものがあることで安心したり、落ち着いたりする。つまり「よりどころ」の例えとして使われる言葉です。
毛布やタオル、ハンカチ、ぬいぐるみ、拡大解釈すれば、お守りや大吉のおみくじ、誕生石なども同じ役割を果たすかもしれません。形は違っても、心を落ち着かせる何かを持つこと──それがライナスの毛布の本質。
よりどころを特に持たない人でも、そういう気持ちは理解できると思います。長年この仕事に携わっていると、ストレスや不規則な生活、睡眠不足でメンタルを病んでしまう人が非常に多いことに気づかされます。そのため「よりどころ」という概念は、クリエイターやエンジニアにとって他人事ではありません。
よりどころを見つける
メンタルが追い詰められた状態から抜け出すのは、容易ではありません。しかしそうならないために、あるいは復活するために、できることはあります。ライナスの毛布のように「よりどころ」になる何かを見つけることです。
それは「モノ」かもしれないし、「人」かもしれません。ライナスの場合は、兄弟だったりスヌーピーだったり、毛布だったり。物語の中でライナスは、何度もこのよりどころに支えられ、助けられています。
よりどころそのものが、問題を解決してくれるわけではありません。しかし気持ちを落ち着かせ、冷静さを取り戻す助けにはなります。また、ここ一番で踏ん張る力を与えてくれることもあります。さらに、思わぬヒントをもたらすことも。公私にわたって人を支える、静かな力なのです。
はっとさせられます。
よりどころは、奪ってはいけない
そう簡単ではないんでしょうけど、クリエイターやエンジニアなど、モノを創造する人が楽しんで制作できない環境では、他人を感動させることなど夢のまた夢。大切なことは、そうならない様に、またはそうなってから復活できるように、ライナスのような毛布が必要です。
もし「よりどころ」を探している人がいたら、一緒に探す手助けをしたいし、自分自身が誰かのよりどころになれるよう、共に活動したり支えたりすることもできます。背負うのではなく、支える気持ちを大切にしたいものです。
ライナスは物語の中で、こんなことを言っています。
みんなだって、だれかにたすけてもらったり、なにかにたよったりしてると思うよ。
『 スヌーピーとしあわせの毛布 』より
自分はだいじょうぶだって人いる?
はっとさせられます。スヌーピーもライナスの毛布を気に入っていて、こっそり持っていってしまうエピソードがあります。それを知ったライナスは、代わりにスヌーピーのお皿を取り上げ、最後は交換して仲直りします。不安になったり、怒らせたり、むやみに「よりどころ」を奪ってはいけませんね。
ちなみに…
「ライナスの毛布」は心理学用語としても定着しており、正式には「移行対象(transitional object)」と呼ばれます。イギリスの小児科医ドナルド・ウィニコットが提唱した概念で、乳幼児が母親の代わりに愛着を持つ対象として毛布やぬいぐるみを選ぶことが、精神的な自立の一段階とされているのだそうです。つまりライナスの毛布は、弱さの象徴ではなく成長の証でもあるのです。
よりどころを持つことは、弱さではない。それは、自分を守るための知恵です。
よりどころの力
というお話でした。
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(参考・出展)

ゲツコーギルド合同会社 CEO兼クリエイティブ・コンサルタント
約30年ほど前、インターネットの黎明期から企画・マーケティング、システムやネットワーク開発など、文字通りWEB業界を創ってきました。徐々に大規模プロジェクトが増えたことに伴い、プロデュースやディレクション、コンサルティング、マネジメントを求められるようになり、東日本大震災をきっかけに、フリーランスの地位向上と働き方の創出のために制作ギルドを創立。配信やセミナーなど育成や再生も開始し、デザイナーやコーダーはもちろん、ディレクターやプロデューサーも数多く輩出しています。
