カラーバス効果

カラーバス効果 ~ 色を纏って手に入れる

カラーバス効果

Color bath

日頃はプロデューサーやディレクターとしてチームを編成して制作・開発チームを率いている。あまり外からは見えない仕事なので、周りの人はどういう仕事をしてるのか興味津々のようだ。今回はアンテナの張り方というお話。

プロデューサーやディレクターは常に情報や知識を求められる。クライアントと直で接し、新たなサービスや事業あるいは立て直しや改善をしようとする中で、ICTやクリエイティブ面でのアドバイスを求められる。最新の技術やトレンド、クライアントの遣りたいこと、達成したい目標などについて、それが実現可能か、その方法が適切か、予算や納期的に納まるか、現在の業務や作業を圧迫しないか…などなど、それを判断するには、「知っている」という事が重要なのだ。 では、どうやって情報や知識を仕入れているのか。

好奇心を研ぎ澄ます

好きこそモノの上手なれという言葉があるように、好きなモノに対しては貪欲に求め、努力するから上達する。情報や知識を入手し、蓄積するのもこれと同じで、興味があるモノを常に求めストックしておくことから始める。

ただ、何でもかんでも闇雲にストックしてたんじゃ引き出しをいくら用意しても足らないし、散漫になって1つ1つが薄っぺらい情報しか集められない。そこで、興味を持つモノを限定するために、好奇心を向ける方角を経験や実績から感覚的に判断できるようにする必要がある。

プロデュースやディレクションには向き不向きがある。こういう作業が苦手だったり、感覚的にできない人は向かないという事になるだろうし、意識しなくてもやってるなぁと感じた人は向いているという事になるだろう。

色を纏って情報を入手

こんな経験はないだろうか。

あることに興味を持ち、それについて色々と調べ始める。すると、割と早い段階でTVや雑誌などで特集が組まれたり、街角で目にするようになったり、他所の誰かがそれについて話しているのを耳にしたりと、わざわざこちらから必死で探し出そうとしなくても向こうから勝手にどんどん飛び込んできて、知りたい情報が簡単に手に入る。

Colors
色を纏う

一見するとタイミングのいい偶然のようにも思えるが、実はこういった現象には名前が付いてる。 その名も『 カラーバス効果 』といい、決してカラフルな乗り物でも派手なお風呂でもない。 一応ボケを潰しといた。 カラーバス (Color bath) を直訳すると色を纏うという意味。その色を纏うことで同じカラーにカテゴライズされた情報を得やすくなるという事だろう。 で、『 カラーバス効果 』とは、知りたいと思う事柄を意識すると情報に敏感になり、これまで興味がなくて普段から見聞きしていても聞き流していた同じ情報でも、際立って感知しやすくなる効果。

つまり、見えてなかったものが見えている状態になったということ。カメラに例えれば、ピントが合ってフォーカスも自在な状態になったということで、偶然にピントが合った訳じゃないのだ。

アンテナの張り方

好奇心を研ぎ澄まし、興味を持ったモノにアンテナを立て、そのアンテナに引っ掛かるものをストックする。言葉にするならこういうことだろう。アンテナの張り方には大きく2通りある。

1つは日常的にさまざまな情報を入手する「常設アンテナ型」。入手した情報を整理し、相談があった時すぐに引出しから情報を取り出せるので、話が進みやすくスタートダッシュが可能な反面、大きなストック棚が必要で、個人のキャパシティに依るところが大きく、どうしても広く浅い情報になってしまいがちになる。

もう1つは、必要な時だけ情報を入手する「折り畳みアンテナ型」。コンパクトなストック棚で、ある分野については深く確かな情報を持っているので、クライアントのお題にマッチすれば即効性がある。一方でマッチしなければ、その都度情報収集をしなければならず、その分時間が掛かるため、立ち上げ時にはまとまった時間を確保する必要が出てくる。

前者はコンサル的、後者は職人的と言えるかもしれない。自分がどちらのスタンスの方が遣りやすいかという事で、どちらが良い悪いではない。

因みに僕は、マメでもないし飽きっぽいので、全ての作業が短期集中。キャパは小さくないと思うが、どちらかと言えば後者タイプ。必要な時に必要な情報を必要な分だけ集めた方が僕は効率良く進められる。前者だと情報過多になり、かえって頭に入ってこないからだ。

アンテナの張り方もやり方やスタンスも人それぞれ。ただ一つ言えるのは、何となく見たり聞いたりしていても、それがストックされることは少ないという事。 気付かずに流れていってしまう。クライアントの要望をしっかりと把握し、関心や興味をそちらに向けてアンテナを立てておけば、あとは『 カラーバス効果 』が助けてくれる。

いずれにしても自分に合ったストック棚を用意し、アンテナの方向や角度、本数を決めてストックするスタイルを確立する。

つまり自分のカラーを纏うことが、情報や知識の蓄積に大いに役立つということではないだろうか。

カラーバス効果

というお話でした。