ダモクレスの剣
The Sword of Damocles
隣の芝生は青く見える。自分の環境よりも魅力的に見えて、傍から見てるとうらやましく思う。でも、どんなにうらやましく見える環境でも、実際にはそうでもなかったり、なんなら相手もこちらの芝生が青く見えてたりもする。今回は危険と背中合わせというお話。
女性制作ユニットを立ち上げて半年、メンバーも10名を越えて徐々に大きくなり、受託やオリジナル制作を通じて、土台固めをしている最中です。メンバーがこのブログを見てたら後でチクチクやられるかもしれないが、僕を除けば他は全員女性。ホントに女性だけのクリエイティブ集団なので、いつも円満に運営するために、これでもそれなりに気を遣っているわけです。
いや、もちろん楽しいときもあるし救われることの方が多いんですよ。多いんですけど、ピリピリしたりバチバチしたり、遠慮なくズケズケと自分の意見を主張したりして、一瞬のうちに場が凍りついたり、天然がさく裂して脳内にカラスが横切ったり、針のムシロになることも…。どうです、この歯切れの悪さで察してほしいんですけれど、そういう内情を知らずに表面だけを見て羨む人も居るんです。
ダモクレスの剣とは、ギリシャ神話の有名な話の一つで、危険と隣り合わせだという例えによく使われる故事です。
ディオニュシオスは「じゃぁさぁダモクレス、ちょっと体験してみる?」と聞くと、ダモクレスは「マジ?いいの?体験してみたい!」と言うので、ディオニュシオスはダモクレスを黄金の椅子に座らせた。
その豪華な席からダモクレスがふと頭上を見上げると、天井から今にも切れそうな細い糸で、剣が吊るされていることに気付く。
ディオニュシオスは、ダモクレスの羨んでいるこの立場こそが、いかに命の危険を伴うものであるかを明示したのだ。
まぁ、命こそ取られないものの、Twitterよりもメタノールよりも炎上しやすいデリケートな状況に身を置いていることに変わりはない。女性というだけでなく、彼女たちはスキルやキャリアを身にまとい向上心も強い。自己主張も強い。既婚率も高くママ率も高いので怖いものなし。だけどクリエイターなので感受性は強く、デリケートでナイーブな面も合わせ持っている。
そういう中で、一度意見が食い違うとただでさえ個性が強く、大人数で調整するのも一苦労なのに、この上、炎上するようなことになれば収拾がつかず、それは死に等しいと思ったり思わなかったりするわけです。
「女性に囲まれて羨ましい」
「両手に花、いや花園」
とか言われるけど、この椅子が羨ましく思える人が居たら、一度座ってみるといい。一瞬にしてダモクレスの心境に近付けることだろう。
女性がか弱いなんて幻想です。力強く、図太い人たちです。
飽きっぽく新し物好き、ワクワクやドキドキを原動力に行動するバイタリティ、思い切りの良さ、大胆さで、この制作ユニットは突き動かされているのです。
それでいて、それらを打ち消すかのように本来の母性を発揮し、寛大さや温かさ、優しさ、しなやかさ、繊細さを兼ね備えているので、とても魅力的で、できる女性のお手本がこの女性ユニットにはあります。
頼りがいがあって素敵な女性たちが集まるクリエイティブ集団なのです。
持ち上げたので相殺できたはず。
最後に、剣がぶら下がっているかどうかは別として、僕の席には将来的には女性が座るべきだと考えています。国内外に散らばる20~40代の女性クリエイターをマネジメントできる女性指導者が出てきて初めて、ホントの意味での女性制作ユニットが完成し、世界に誇れる日本初の女性制作ユニットと呼べるようになるんです。
そして、そういう女性指導者を育てていくことが、僕自身に課せられているミッションだと考えています。
ダモクレスの剣
というお話でした。
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ゲツコーギルド合同会社 CEO兼プロデューサー
2016年に東京下町から瀬戸内の離島に移住。クリエイターの働き方や人財育成、再生、地域でのクリエイティブやICTを活用したブランディングや地域創生、事業再生を得意としたプロデュースやディレクションで活躍中。メガネ&広島弁や伊予弁など方言女子が大好物。個人的には懐古的なモノがスキ。ネガティブ属性だがユーモアを忘れない。1970年 江戸下町産。