決意だけでは何も変えられない
Act first
口では「やります」「頑張ります」と言いながら、結局何も実行しない人に遭遇したことはないでしょうか。言葉だけで行動が伴わない状態は、周囲の期待や信頼を裏切ることと同じです。どれほど立派な目標や抱負を語っても、実行に移さなければ何の意味もありません。今回は組織やビジネスで信頼を得るために欠かせない「まず行動」することの大切さ…というお話。
希望を運ぶ人、不平不満を言う人
いくら崇高な理想や理念を掲げていても、それを実現させるために行動しなければ意味がない。それは理想や理念がないに等しい。
過去の偉人たちも、いろんな言葉や表現で行動することの重要性を名言として残している。最近、行動に関して面白い表現をする本を読んだ。その本は『 希望をはこぶ人 』というタイトルで、ホームレスを経験したアメリカのアンディ・アンドルーズ氏によって書かれたもので、その中でこんなやり取りがある。
「5羽のカモメが防波堤にとまっている。そのうちの1羽が飛び立つことを決意した。残っているのは何羽だい?」
「4羽です」
「そうじゃない。5羽だよ。飛び立とうと決意することと、実際に飛び立つことはまったく別物だからね」
アンディ・アンドルーズ 著 『希望をはこぶ人』 ダイヤモンド社
飛ぶと決めただけでは、まだ飛んでいません。
翼を広げて初めて、1羽が飛び立ちます。
この話は、決意と行動の違いを表しています。
目標を立てることは大切です。
しかし、目標だけでは現実は変わりません。
小さな一歩が必要です。
世の中には、自ら動いて「希望を運ぶ人」と、口だけで動かず「不平不満を言う人」の2種類が存在します。どれほど前向きで立派な言葉を口にしていても、実際に行動を起こさなければ、結果として周囲を失望させ足を引っ張る存在になってしまいます。
「頑張ります」「やってみます」という言葉自体に価値はありません。言葉よりも前に、まずは自ら手を動かして「希望を運ぶ側」に立つ姿勢を見せることこそが、本当の信頼を生み出す第一歩となります。
自分に甘く、他人に厳しい
人は、他人を行動で判断します。
人は、他人のことは行動で判断するのに、自分のことは決意で判断することがよくある。しかし行動を伴わない決意は、期待してくれている人に対する裏切りでしかない。
アンディ・アンドルーズ 著 『希望をはこぶ人』 ダイヤモンド社
約束した連絡をしなかった。
作ると言った企画を出さなかった。
助けに行くと言ったのに、行かなかった。
この状態が続くと、信頼は少しずつ下がります。悪意がなくても、相手を失望させることがあります。
だからこそ、言葉には行動を添えなければなりません。
「やります」と言う前に、最初の作業を決めます。
連絡なら、送る時刻を決めます。
企画なら、見出しを一つ書きます。
小さな行動が、約束を現実に変えます。
創業から変わらないQriousのポリシー
女性制作ユニットQriousには、創業時から大切にしている考えがあります。
それが「Act first(まず行動する)」です。
「Qriousは何か面白いことをやってくれそうだ」って思っている人たちに対して、Qriousは「楽しいことをやります!面白いことをやります!」って言いながら、全く行動しなかったら、明らかに期待してくれてるクライアントへの裏切り行為になります。
考えている事がどんなに立派で、どんなに斬新で、どんなに感動的なものであっても、行動に移さなければお金も稼げないし、お腹いっぱいにもならないし、達成感も高揚感も得られない。結局、何一つ満たされません。
もちろん、行動すれば失敗することがあります。壁にぶつかることも。しかし、失敗には次の判断材料があります。何も試さなければ、改善する材料も得られません。
たとえば、作品を公開すると反応が分かります。
企画を提案すると、課題が見えてきます。
試作品を作ると、足りない機能が分かります。
つまり、行動は検証の始まりです。完璧な準備を待つ必要はありません。まず試し、結果を見て、次の一手を考えます。
クリエイターの行動は作品になる
クリエイターにとって、行動は特に重要です。アイデアは、頭の中にあるだけでは伝わりません。
デザインにすれば、初めて人に見せられます。
文章にすれば、初めて読んでもらえます。
コードにすれば、初めて動作を確かめられます。
そのため、最初から完成を目指さないことが大切です。
ラフを1枚作ります。
冒頭の文章だけ書きます。
画面を一つだけ実装します。
このような小さな行動なら、始める負担も減ります。そして、作ったものを見れば、次の課題が分かります。
行動は、才能を証明する試験ではありません。考えを現実で確かめるための道具です。
行動を始める仕組み
行動できない理由は、意志の弱さだけではありません。
いつ、どこで、何をするかが曖昧な場合もあります。
そこで、「もしAが起きたら、Bをする」と決めます。これは心理学で「実行意図」と呼ばれる考え方です。
たとえば、朝にコーヒーを飲んだら、企画書を10分書きます。
昼食の後に、クライアントへの返信をします。
帰宅したら、机の上のラフを1枚だけ仕上げます。
このように、きっかけと行動を結びつけます。
すると、「いつやろう」と迷う時間が減ります。
また、作業を小さくすることも有効です。
「作品を完成させる」では大きすぎます。
「ファイルを開く」なら、始めやすくなります。
まず行動するとは、無計画に走ることではありません。
考えたことを、検証できる大きさにすることです。
ちなみに…
ちなみに、「まず行動」という言葉は、決して「考えるな」という意味ではありません。むしろ、考えたことを現実に確かめるために動く、という意味です。
心理学で有名な「メラビアンの法則」でも、人が相手を評価する際に最も影響を与えるのは「言葉の内容(7%)」ではなく「視覚情報(行動や態度:55%)」だとされています。
どれほど素晴らしい言葉を並べても、行動という態度が伴っていなければ相手には何も響きません。言葉と行動を一致させることが、良好な人間関係や仕事の成功における普遍的なルールなのです。
クリエイターにとって、これは特に大切なことだと思います。作品を作らなければ、誰かに見てもらうこともできません。企画を出さなければ、実現することもありません。そして、誰かに届けなければ、反応を知ることもできません。
だから今日も、まず一歩。
考えることは、未来を描くこと。行動することは、その未来に自分の足跡をつけること。
まず行動!
というお話でした。
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参考・出展

ゲツコーギルド合同会社 CEO兼クリエイティブ・コンサルタント
約30年ほど前、インターネットの黎明期から企画・マーケティング、システムやネットワーク開発など、文字通りWEB業界を創ってきました。徐々に大規模プロジェクトが増えたことに伴い、プロデュースやディレクション、コンサルティング、マネジメントを求められるようになり、東日本大震災をきっかけに、フリーランスの地位向上と働き方の創出のために制作ギルドを創立。配信やセミナーなど育成や再生も開始し、デザイナーやコーダーはもちろん、ディレクターやプロデューサーも数多く輩出しています。