リンゲルマン効果
Ringelmann effect
AKB48グループのメンバーが200人を超えてると聞いた。わが女性制作ユニットQrious(キユリアス)も、その1/20の規模で10名を超えている。制作会社の規模としては大きい方の部類になってきた。今回は責任感というお話。
無意識なレベルでサボってしまう。そんな現象が有り得ると思いますか?
約100年も前にドイツの心理学者 マクシミリアン・リンゲルマンが、運動会でおなじみの綱引きによる社会心理学の実験を行った 。
1人で綱引きをした時、綱を引く力の入り具合を100%だとすると、2人で綱を引いた時の一人当たりの力は93%に減少。さらに3人で綱を引いた時は85%…8人になると実に一人当たり49%にまで減少した。
参考:社会的手抜き(リンゲルマン効果)より
この現象を「リンゲルマン効果」とか「 社会的手抜き」と言います。運動会の綱引きでは、持てる力の半分も発揮していないことになります。つまり一人一人がベストを尽くしていない状態なわけです。
組織運営に於いて、この現象は由々しき事態。このことをずっと懸念していました。組織が大所帯になってくると、コミュニケーションをとる人と、とらない人に大きく分かれます。Qriousの参加条件の中にこんな項目があります。
”コミュニケーションを大切に、レスは早く、確実に行う”
Qriousに限らず、特にリモートを取り入れた組織はリアルよりも密なコミュニケーションが必要なことを知っています。
コミュニケーションを図らない人は残念ながら一定数存在します、そういう人は黙っていてもそのうち消えていくのですが、一応、縁が合って参加してもらったわけですから、こちらから2度,3度、アクションを起こし改善を促しますが、しばらく放置したのち改善されなければ、半年後には除籍処分となります。
当然、本人も分かっていて意図的に連絡をとらない確信犯なのですが、これがもし「無意識」のうちにこういう事態を招いてるんだとしたら、組織にとって相当怖い現象です。
リンゲルマンは、実験による結果からこのように言っています。
集団になればなるほど、「他の人が何とかしてくれるだろう」という手抜きの心理が無意識のうちに働いてしまう。つまり、人数が増えるほど責任感が分散される。
参考:社会的手抜き(リンゲルマン効果)より
組織を構成する人数が増えれば増えるほど、責任感が薄まっていく感覚は確かにあって、呼び掛けてるのに誰も反応しないって事がよくある。もちろん気付いていないわけじゃない。気付いていないのならば、それはそれでまた別の問題。
呼び掛けには当然気付いているうえで「誰かが反応する」と考えて、積極的に行動しないという判断を無意識にしているという実験結果ということになる。
組織の人数が増えることで、目が行き届かなくなるのをいいことに、勝手に責任感を都合よく薄めてしまって、なぁなぁを助長させてしまい、結果的に無責任になっているのです。 無意識にこういった心理が働くのであれば防ぎようがありません。
だったら「私がやる!」と積極的に行動できる人をより多く集めて、個人個人が意識的に責任感を持って行動する組織に変えて行けばいいじゃないか!そう言われるかもしれない。
確かに、他力本願で叶う夢や目標などないし、仕事と生活のバランスや収入面など現実的なことを考えれば、自発的に行動を起こし、組織全体に活気が溢れ、ポジティブな雰囲気が出来上がって活性化することが理想ではある。
良い結果を産むためには高い意識で取り組むことが重要だとも思う。
もちろん、そういう組織を目指しているが、それでもやっぱり一定数は責任感も参加意識も勝手に薄めちゃう層は出来てしまう。
それについてはまた別の機会に触れたいと思うが、現状は、ことあるごとにメンバーには説いていくしかないだろうし、肯定的に考えると「誰かが反応する」と思うのは、それだけメンバーの層が厚いからだと言えなくもない。
いや、ちょっと無理があるか。
そういうもんだと思って、根気強く向き合っていくしかなさそうだが、もうちょっと反応しろよ!もっとQriousは自分のすべてだ!くらい背負って見せろよ!っていうのが偽らざる本音ではある。
リンゲルマン効果
というお話でした。
~ 本文で紹介された書籍をご紹介 ~
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ゲツコーギルド合同会社 CEO兼プロデューサー
2016年に東京下町から瀬戸内の離島に移住。クリエイターの働き方や人財育成、再生、地域でのクリエイティブやICTを活用したブランディングや地域創生、事業再生を得意としたプロデュースやディレクションで活躍中。メガネ&広島弁や伊予弁など方言女子が大好物。個人的には懐古的なモノがスキ。ネガティブ属性だがユーモアを忘れない。1970年 江戸下町産。