働き蟻の法則

働き蟻の法則 ~ 2割を放置するゆとり

働き蟻の法則

A necessary evil

会社でも部活でもサークルでもどんな組織でも、人が集まって何かをするとき、必ず働く奴と働かない奴に別れる。働かない奴には「働け!」って尻を叩きますが、ほんの一瞬だけ動くものの、結局、元の木阿弥でイラッとした経験ありませんか。今回はその考え方を少し変えるとイラッとしなくなるかもっていう必要悪というお話。

我がQriousは少ない時で10名程度、多い時では20名程度のメンバーが在籍している。全員が常時稼働しているかというとそんなことはない。稼働しない人は必ず一定数存在する。はじめのうちは、ちゃんと参加しろって言いますが、それは最初のうちだけで、しつこく言うことはない。それは、ある考え方に基づいてワザとそうしていることもある。

みなさんは「 働き蟻の法則 」とか「 2:6:2の法則 」って法則を聞いたことはないだろうか。ザックリ言うとこうです。

働き蟻のうち、
 優秀でよく働く蟻が全体の2割
 普通に働く蟻が全体の6割
 全く働かない蟻が全体の2割
仮に全く働かない2割の蟻を取り除いたとしても、残った8割の中で2:6:2が再構成され、全く働かない蟻が常に一定数存在する

どんな組織でもこの割合に近い状態にあって、どこの層が抜けたとしても再構成されると2:6:2に収まるというもの。

会社ってできる人や面倒見がいい人から辞めていきますよね。辞める前はあの人抜けたらどうなっちゃうんだろうって、言い知れぬ不安に襲われるものだが、その人が辞めた後は別の人がリーダーシップを発揮するようになって、意外と何とかなるもんだなってことがある。
できる人から辞めていくって法則もありそうだなぁ…まだ言ってる。

勿論、逆もある。働かない奴と決別して組織もよくなるかと思ったら、今度は別の奴が働かなくなったとか。

組織を率いる者は、よく働く2割を増やし、全く働かない2割を減らして、全体の稼働率を上げたいと思うだろう。作業効率や実績を考えれば、リーダーとしては至極当然だと思うし、実際にそうなったら理想的な組織だ。
しかし、どうやってもこの法則になることがあらかじめ決まっているとしたら…

100人の従業員が居て、その内20人が働かない従業員だったとする。どんな会社だよってツッコミはナシで。で、働かない20人を解雇したとする。残った80人は働く従業員集団のはずだが、しばらくすると再編成され、80人の働く従業員の内、16人の新たな働かない従業員グループができあがった。どんな会社だよってツッコミはナシで…法則上はこうなる。

これをいくら繰り返しても、結局、一定数働かない者が出てくる。

放置するゆとり

冒頭の話に戻しますが、Qriousにも残念ながら一定数働かない者が存在するが、しつこくは言わずに放置している。

以前に似たようなテーマで、無意識に手抜きをしちゃう『 リンゲルマン効果 』という話をしました。組織として人数が増えてくると力が分散するって話をしたが、それとはまた違う。

なぜ放置するかというと、理由は2つある。

  1. 働く人を多く残すため
  2. 働く人を優遇するため

まず1番目ですが、先ほどの例で言うと当初80人の働ける従業員が居ましたが、働かない20人を切り捨てたために、結果として働ける従業員が64人に減ってしまいました。
あれ?って思いませんか。そうです。働ける従業員は80人-64人=16人減。それに対して、働かない従業員は20人-16人=4人減。働ける人が16人も減ってしまったのに、働かない人は4人しか減っていない計算になる。これって組織にとっては大打撃ですよね。

次に2番目ですが、働かない人が居ることで、働ける人と働かない人とのコントラストがハッキリする。これまでこのブログで何度も主張してきましたが、正直者がバカを見るような体制は組織として最悪だし、やったらやっただけ評価される体制でなければ、モチベーションが上がらないので続けることができない。
働かなければ何も得られないし何も変えられない。逆に積極的に関わることで仕事量や収入はもちろん、やりたいことができるようになったり、他のメンバーの協力が得られたりする特典が付いてくる。制作実績も増えれば、最大の自己PRにも繋がるし、仕事が仕事を呼んでくれる。

だからQriousでは、積極的に活動する8割を守っていくために、2割を放置するのです。つまり、働かない2割は「必要悪」なのです。この2割が居てくれるから8割が際立つ。勿論、必要悪ですから悪いことに変わりはないが、逆に8割の方に異変があった場合、この必要悪の中から救世主があらわれる可能性もゼロではないし、言い換えれば人的余裕と言えなくもない。Qriousの場合は企業と違って固定費が発生するわけでもないので、自分から辞めていかない限りはしばらく放置しても問題ないわけです。

ということで、組織運営でイラッとされてるリーダーのみなさん、ちょっと考え方と扱いを変えると、イラッとせずにスルーできるようになるし、諦めもつくのではないだろうか。
ここで重要なのは、ちゃんとやってる人を優遇すること。査定でしっかりと差をつけるとか、有給を優先的に取らせるとか、社内表彰するとか、何でもいいので、あなたは8割のグループですよってことを組織として、上長として、示してあげることが、モチベーションを上げるうえで重要だと思う。

ちなみに働き蟻ってメスなんです。だからってわけじゃないけどQriousには適した法則なのかも(笑)…あ、僕しか笑ってない(怖)

働き蟻の法則

というお話でした。

~ 本文で紹介された書籍をご紹介 ~

働かないアリに意義がある (中経の文庫)