水辺のシカ
Deer of the waterside
誰でも得意、不得意はある。得意なものや長所にはそれなりに自信もあり、不得意なものや短所には当然、自信が持てない。しかし得意で自信があるからと言って、結果が伴うとは限らない。その逆も然り。なかなか思い通りにはならないというお話。
自分が誇りに感じていることや逆に劣ってると感じているものがあるとすれば、当然、誇りを持っている方をあてにします。劣ってる方をあてにする人はまずいないでしょう。
イソップ寓話の『水辺のシカ』という話があります。
水を飲みに泉にやって来たシカが水を飲んだ後、泉に映る自分の姿を見て見事に枝分かれした角を誇らしく思い、細くて弱々しい脚を見て哀しく思った。
そこにライオンが現れ、シカは一目散に逃げ出した。
あっと云う間にライオンを引き離したが、やがて木々の茂る場所に至ると、自慢の角が木の枝に絡まって身動きが取れなくなり、とうとうライオンに追いつかれ捕まってしまった。
シカは喰い殺される間際に「ああ、情けない。あてにしていなかったものに助けられ、頼りにしていたものに裏切られた」と独り言をつぶやいた。
あてにしていなかった脚でライオンから逃げおおせたものの、見事に枝分かれした自慢の角が、木の枝に絡まってしまってあてにならなかったという話だ。
チームやグループ、会社でもそうだが、あてにしている人が動かなかったり動けにならなかったりしたときの絶望感は大きい。
予め想定していた計画が遂行できなくなるばかりか、他の作業にも影響を及ぼし兼ねない。
こんなことを言うといろいろ荒れちゃいそうだが、逆に期待してなかった人が、思わぬ働きや活躍をすると驚きと同時に、あれ、こんなにできる人だったっけ?ってなることもある。
特に、あてにしていた人がコケて途方に暮れてる時に、期待してなかった人がリーダーシップを発揮して事なきを得たときには、神々しく救世主にすら見える。
こちらの勝手な期待なので、それぞれ本人たちが悪いとは限りませんが、いずれにしても、こちらの思惑通りには進まないなぁと思うわけです。
制作の場合には、クライアントに迷惑が掛からない様に、最低限のリスクヘッジをすることが肝要。クリエイターをアサインする段階でメインとサブを決めておくとか、あれ?進捗しないなぁと思ったらサポートを早目に付けるか或いは、思い切ってメンバーをチェンジするか、ドライに決断することも時には必要だろう。
兎に角、シカのように嘆かないで済むように注意したいものですね…
え?ウチもですって?
ウチは大丈夫。
オスは僕しかいないので。
水辺のシカ
というお話でした。
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ゲツコーギルド合同会社 CEO兼プロデューサー
2016年に東京下町から瀬戸内の離島に移住。クリエイターの働き方や人財育成、再生、地域でのクリエイティブやICTを活用したブランディングや地域創生、事業再生を得意としたプロデュースやディレクションで活躍中。メガネ&広島弁や伊予弁など方言女子が大好物。個人的には懐古的なモノがスキ。ネガティブ属性だがユーモアを忘れない。1970年 江戸下町産。