遠距離恋愛

遠距離恋愛 ~ 距離と回数とハンカチーフ

遠距離恋愛

Distance and number of times

突然ですが、遠距離恋愛の経験ってありますか?その昔「X’MAS EXPRESS」というキャッチコピーでJR東海が新幹線のCMをやってました。新幹線をテーマに繰り広げられる短いドラマ。今回は距離というお話。

ブログのコンセプトから外れてんじゃねぇの?って思った方、安心してください。もちろん恋愛の話ではありません。この遠距離恋愛に大きなヒントが隠されてます。どんなヒントでしょう?

遠距離恋愛ってなかなかうまくいかないと聞きます。アメリカの心理学者 ボッサード氏は、こんな法則を発見しました。

男女間の物理的な距離が近いほど心理的な距離は狭まる

参考:ボッサードの法則

1932年、ボッサードが婚約中のカップル5,000組を対象にした実験がこれを裏付けてる。

婚約中のカップル5,000組中、婚姻届を出した時点で12%が既に同棲しており、さらに33%が半径5ブロック以内に住んでいた

つまり、近くに住んでいたからこそ、結ばれたというのだ。それだけ近くで接する機会が多い方が、恋愛が成就しやすいという実験結果だが、考えてみれば同級生や社内恋愛、社内不倫など、距離が近いほど恋愛に発展しやすいと言われれば、確かにそうかもしれないと頷ける部分もある。
裏を返せば、距離とともに気持ちも離れていくということだろう。

もう一つ、遠距離恋愛がうまくいかないと言われるファクターがある。それは「回数」。1968年、アメリカの社会心理学者 ロバート・ザイアンス氏 が論文にまとめて知られるようになった「単純接触効果」は、回数についてこう言ってる。

繰り返し接すると好意度や印象が高まる

参考:単純接触効果

つまり、人となりを知らずとも、何度も見たり聞いたりすることで、次第に好印象になっていくということ。良いのか悪いのかわからない現象だが、TVCMなどでしょっちゅう見掛けたり、営業で客先にマメに顔出しすることは、まさにこういう効果を狙ったものだろう。

この距離と回数というダブルパンチが要因で遠距離恋愛は続かないんだろう。「木綿のハンカチーフ」という歌のようだ。

さて、ここからが本題。これまでに何回か、このブログではユニットの働き方について触れてきた。ユニットはフリーランスの集まりで、基本的にはリモートで仕事をしている。所謂SOHOです。日本国内のみならず海外にもメンバーがいますので、まさに遠距離恋愛だ。

僕は日頃からコミュニケーションを密に取るように心掛けている。仕事はもちろんプライベートや雑談も含めて、くだらない会話や愚痴、相談など、その内容を問わずに時間がある時はボソッとつぶやき、気付いた誰かがそれに反応する。
独り言に誰かが反応するのに似ている。

普段、顔も合わせず、一度も逢ったことがない者たちを、同じ土俵で、同じ目標に向かって、しかも楽しく仕事を進めていくには、リアルで顔を合わせる環境よりも、もっともっともっと努力してコミュニケーションをとらないと人間関係を維持できないからだ。

2人の心理学者が説いたように、物理的な距離があり、逢える回数が限定されている環境下にあっては、遠距離恋愛や単身赴任のように、その先に待ってる「別れ」があるのは明白。であれば、それを回避するには「頼れる隣人」として、メンバーそれぞれがそれぞれのことを思えるような組織にすることが必要不可欠だと思うわけです。

このネットや通信網、交通網が発達する現代に、物理的な距離など大した問題ではない。しかしリアルを疎かにはしない。バーチャルはリアルの延長線上にあるからだ。

それに問題となるのは心の距離間ではないだろうか…

遠距離恋愛

というお話でした。