オッカムのカミソリ
Occam’s razor
人生は度々「道」に例えられる。この道は険しいのか、正しいのか、このまま進むべきなのか…仕事でもプライベートでも選択を迫られることがあり、人生の岐路に立たされる。しかし、考えれば考えるほど答えは遠ざかり、決断はますます難しくなる。今回は 決断すべき時 というお話。
決断を鈍らせる思考ノイズ
僕は視野が狭くならないように、クリエイターやエンジニアとの交流を、日々、心がけているんですが、悩みや迷いといった、言い知れない不安と落胆にも似た思いを、いつも感じています。
フリーランスは、同業者との交流が意外と少ないので、誰かに相談したり吐きだせずに溜め込む傾向があります。きっと頭の中で繰り返し何回もグルグルと考えているうちに、疲れてしまうのかもしれません。人によっては「この人、大丈夫かなぁ」と心配になるほどです。
会社員の頃は、上司や会社が判断して命令を下してくれるので、自身が決断する機会は少ないかもしれませんが、フリーランスや起業をすると、すべてを自分自身で判断しなければなりません。その選択がその先の進路を左右することもあるので、立ち止まって二の足を踏んでしまうのも無理からぬこと。しかし決断しないことには、先には進められないし、期限も迫ってきてしまいます。そういうジレンマの中で、自分がいかに優柔不断かを思い知らされたりします。
オッカムのカミソリとは
いろんなシーンで、決められない人に、よく『 オッカムのカミソリ 』の話をします。
『 オッカムのカミソリ 』とは、14世紀のイングランド、オッカム(地名)出身の神学者で哲学者のウィリアム(William of Ockham、1285年 – 1347年) が提唱した原理です。
(原文)
必要が無いなら多くのものを定立してはならない。
少数の論理でよい場合は多数の論理を定立してはならない。
『 オッカムの剃刀 』より
これだと何のことやらさっぱりなので、もう少しわかりやすく嚙み砕くとこうなります。
迷ったときはシンプルに
つまり ” Simple is best! “
たとえば、ある問題を解決しようとする時、”A”と”B”という選択肢がある場合、よりシンプルな方、直感でそう感じる方を選べ、ということです。
迷って選択できないのは、物事を複雑に考えすぎているから。多くの場合、それは意味のないことだというのが『 オッカムのカミソリ 』の本質です。
問題解決の本質はAかBかを選べば済むのに、余計なことを考えすぎて、AとBの2択に「C」という選択肢を自ら追加するようなもの。そうなると本質からズレてしまいます。つまりは、物事を複雑にしているのは、自分自身ということなのです。
また、問題をより複雑化させれば不確定要素が増え、いたずらに時間が引き延ばされます。問題を悪化させるばかりか、手遅れになることだって考えられます。
これってデザイン案によく似てると思いませんか。”A案”と”B案”の提出を求められて、いざ提出してみると、それを元に”C案”を要求されるような。最終的に出来上がったものはAでもBでもCでもなくDだった…という…。
結局、選択肢が多くなればなるほど人は決められない。余計なものはカミソリで削ぎ落とし、シンプルに、直感に従って決断を下せばいい。
答えは、決断した後にしかわからない
いくら考えたって答えが出ないものもある。どの選択が正しいかなんて、その時点ではわからない。また、どちらの道を試すこともできないし、「もしこっちを選んでいたら」と比較することもできない。
問題に直面したとき、検討やシミュレーションをして思い悩む時間は、問題解決のプロセスとして重要で、必要な時間です。けっして雰囲気やノリで決めるべきものではありません。しかし、だからといって、いつまでも考えるばかりで決断を下さず放置するわけにもいきません。
いずれにしても、いつかは決断しなければならないのです。
迷った時は、この『 オッカムのカミソリ 』を思い出してください。余計なものは削ぎ落として、よりシンプルな道を…
ちなみに…
ちなみに、あのアインシュタインも「物事はできる限りシンプルにすべきだ。しかし、シンプルにしすぎてはいけない」という言葉を残しています。これはオッカムの剃刀を現代風に解釈したもので、本質を損なわない限界まで削ぎ落とすことの難しさと重要性を説いています。
オッカムのカミソリ
というお話でした。
~ 本文で参考にした書籍をご紹介 ~
(参考・出典)

ゲツコーギルド合同会社 CEO兼クリエイティブ・コンサルタント
約30年ほど前、インターネットの黎明期から企画・マーケティング、システムやネットワーク開発など、文字通りWEB業界を創ってきました。徐々に大規模プロジェクトが増えたことに伴い、プロデュースやディレクション、コンサルティング、マネジメントを求められるようになり、東日本大震災をきっかけに、フリーランスの地位向上と働き方の創出のために制作ギルドを創立。配信やセミナーなど育成や再生も開始し、デザイナーやコーダーはもちろん、ディレクターやプロデューサーも数多く輩出しています。