一本の箸

一本の箸 ~ 験担ぎのアドリブ

一本の箸

Superstitions and chopsticks

新年あけましておめでとうございます。今年も、今年こそはよろしくお願いします。酉年がはじまりました。歴史上の人物にまつわるお正月の逸話から、今年ははじめたいと思います。新年一発目は粋なアドリブってお話。

歴史上の人物の逸話とは信長と秀吉。織田家の家臣が一同に会するお正月を祝う会での出来事。配膳される料理に箸が1本しか置かれてないお膳が1つ。そのお膳が、あろうことか織田信長に配膳されてしまう。

有り得ないミスに怒り心頭の信長。正月を祝う雰囲気が一瞬で固まる。

そんな時、助け舟が。末席に居た豊臣秀吉だ。

これは粋なことを。
片箸で膳を平らげる。
それすなわち、殿が片っ端から諸国を平らげると示唆しておるのでしょうな。正月ならではの、めでたい例えにございましょう。

秀吉は場の雰囲気をとりなした逸話として残っている。

お正月の様々な行事やしきたりには験担ぎがつきもの。
流石、秀吉と言ったところか。目出度い席を台無しにするところを験担ぎを利用して、場を収める機転は見事で見習いたい。

験担ぎと言えば、おせち料理はその典型だろう。
例えば、

栗きんとん
(黄金に輝く財宝)勝ち栗

黒豆
まめに働く

昆布巻
喜(ん)ぶ

田作り
(田畑の肥料として)五穀豊穣

数の子
子宝と子孫繁栄

えび
(長いひげをはやし、腰が曲がるまで)長寿

レンコン
未来を見通す

など、目出度く縁起のいいものを当てて、正月料理を楽しんだと言います。

秀吉のような、こういう粋な返しを大人だったらしたいものです。特に場の空気を一変させるユーモアはいつも忘れず狙っていきたい。

本年も昨年同様、いや昨年以上によろしくお願いします。

一本の箸

というお話でした。