アルジャーノンに花束を

アルジャーノンに花束を ~ 他者との接し方

アルジャーノンに花束を

Flowers for Algernon

今日は僕の誕生日です。僕が13歳になった時、人生の縮図のような一冊の本を貰いました。それは衝撃的で強く印象に残った世界的に有名な小説。今でもバイブルのように本棚にあります。今回は、身近な人との接し方というお話。

その本は、 ダニエル・キイスの小説『 アルジャーノンに花束を 』。 ドラマや舞台で何度もリバイバルされた、あまりにも有名な作品。知らない方のために、この物語は主人公チャーリィの経過報告として進行していきます。はじめはひらがなだけで、書き間違いも多くて読みずらいのですが、IQが上がっていくにつれて、段々と読みやすい文章に変化していきます。

主人公は知的障害を持つ心優しい32歳のチャーリィ・ゴードン。ある日、チャーリーの前に2人の博士が現れ、頭が良くなる手術を持ちかける。チャーリィは頭が良くなれば、自分を捨てた母親も迎えに来てくれるし、大好きな先生に思いが伝えられると思い手術することに。

手術は見事成功し、チャーリーは天才へと変貌していく中で、これまで意味が分かっていなかった仲間の行為や接し方が悪意のあるものだったことに気づいたり、天才になったチャーリィへの妬みを知って愕然とする。

次第に周りとの距離が広がり、勤めていたパン屋も辞めることになる。

ダニエル・キース 著 『 アルジャーノンに花束を 』より

ストーリを知ってる人は、もうこの段階で胸を締め付けられると思います。母親は知的障害のチャーリィが嫌で嫌でしょうがなくて、ある誤解が元で捨てられてしまいます。その母親が手術によって迎えに来てくれると思っていて、手術に思いを馳せるあたりがとても切ないのです。

また、IQが上がるとともに、これまでイジメられてたということも理解するようになり、友達だと思っていた人たちが必ずしもそうじゃなかったことに気づいてしまったり、そういうことが切欠で徐々に周りとの距離ができることで、ずっとお世話になっていたパン屋を辞めることになってしまいます。

天才となったチャーリィは研究に没頭していきます。そして彼は重大なことに気付くのです。

チャーリィが手術を受ける前に、動物実験としてハツカネズミが同じ手術をしていた。そのハツカネズミの名前は「アルジャーノン」。

研究をしていたチャーリィは、ある時アルジャーノンの異変に気づく。それについて調べていたチャーリィは、手術に欠陥があることを突き止め、必死になってその改善策がないか研究を続けますが、解決策がない事を悟ってしまいます。

アルジャーノンは症状が悪化し、ついに命が尽きてしまう。

同じ手術を受けたチャーリィも徐々に知能が退行していく。

そして、チャーリィも…

ダニエル・キース 著 『 アルジャーノンに花束を 』より

チャーリィは天才的な頭脳で、研究に没頭するがアルジャーノンの異変に愕然とし、恐怖を感じながらも必死で食い止めようとします。2人の博士も成す術なく、チャーリィにすがる他ありません。

そんな中、皮肉にもかつての仲間が真実を知って、知能が退行するチャーリィを再び支えようとします。アルジャーノンが亡くなり、庭に埋めてからも「けいかほうこく」は続きます。そしてチャーリィにも死期が近付き「けいかほうこく」もままならなくなった時、最後の「けいかほうこく」を書いた後に、これを読むであろう教授に追伸を書きます。

P.S. please if you get a chanse put some flowrs on Algernons grave in the bak yard.

ついしん。どーかついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかにはなたばをそなえてやてください。

ダニエル・キース 著 『 アルジャーノンに花束を 』より

心優しきチャーリィ・ゴードンの、最後に残した言葉です。綴り間違いの一つ一つが泣けます。

他者とのかかわり方

この物語は、いろんなことを投げかけてきます。チャーリィは短期間で人間関係の複雑さや裏表を一気に体験しました。

小説の中だけじゃなく、現実社会でも周囲の反応は物語の描画と恐らくそれほど違わないと思います。相手の考えてることや感じてることが伝わってくることってありますよね。それがわかった時の衝撃は想像するに難くない。

何かをキッカケに周囲との人間関係やパワーバランスが崩れて、これまでの関係が続けられないって事、あると思います。

病気によって離れていく人も居るでしょうし、結婚や出産など生活環境が変わることによって自然と離れていくこともあります。それは仕方のないところもありますし、他者との関係に依存するのも、それはそれで歪んだものになるし、離れていくことが悪いとは一概に言えないところもありますよね。

ただチャーリィにとって救いなのは、最期は独りぼっちじゃなかったことです。いろんなわだかまりが解けないまま、独りで逝くのはあまりにも寂しすぎる。一度は知的障害から解き放たれ、使命を帯びて研究に没頭し、確信に近い末路を知ることとなり、愕然としながらもそれを受け入れ元の状態に戻るというジェットコースターのような生涯を終えようとしているチャーリィの許に戻ってきた仲間は「アルジャーノン」が引き寄せたのかもしれませんね。

ふと、何となく疎遠になっちゃった人を思い浮かべて書いていますが、パートナーやメンバー、身近な人たちとの接し方について、自分の態度や行動、立ち居振る舞いはは果たして大丈夫だろうかと考えさせられちゃいますね。

アルジャーノンを飼っていたら、また引き合わせてくれるでしょうか。

そして誕生日おめでとう自分。

アルジャーノンに花束を

というお話でした。

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