下町ロケット

下町ロケット ~ 替えの利かない歯車

下町ロケット

Gear of company

本意じゃないことにも従わなくちゃいけない場面や、上司からの理不尽な要求、無理難題のオンパレード。会社員に限ったことじゃないが、組織に属する人ほど顕著に不平不満を感じているだろう。歯車というお話。

はじめに言っておくが、冒頭の不満は何もサラリーマンだけに与えられた特権ではない。フリーランスだって自営業だって、社会という大きな仕組の中では、多かれ少なかれ似たようなことはあるものだ。

仕事終わりで居酒屋に来ている会社員が、悪酔いしてこんなことを言う。

”会社の歯車なんかにならね~ぞぉ~!”

そんなことを言ってるシーンに出くわすといつも違和感を感じる。おそらく、「会社や上司に都合よくコキ使われる存在にはなりたくねぇ」ってことが言いたいんだろうけど、酔っ払いだとしても、ちょっと言ってることが可笑しい。

果たしてこの酔っ払いは、いったいどこから目線で”歯車にならない”と言っているのか。

例えば、会社そのものが機械で、その機械にこの酔っ払いは就職した。つまり自らが望んで機械のパーツになりに行ったわけだし、社長だってその機械の中の一部に過ぎず、重要なパーツではあるが、酔っ払いと同じ機械のパーツに違いはない。

この酔っ払いは、機械を動かす人が社長であり上司だと思っているのだろうが、だとしたら、もう既に使われることが前提になっているのだから「コキ使われる存在にはなりたくねぇ」が虚しく響いちゃう。それどころか、寧ろ機械として使われる気満々ではないか。その機械は自分自身では動かせないのだから、はじめから対等な立場では有り得ない。

酔っ払いの戯言はさて置き、最近、面白い本を読んだ。 池井戸 潤氏の直木賞受賞作品『 下町ロケット 』。 あらすじはこんな感じ。

宇宙工学研究者としてロケット開発に携わっていた佃(主人公)は、打ち上げ失敗の責任を取って職を辞し、親の後を継いで町工場の経営をすることに。 資金繰りや経営難、下請イジメ、訴訟問題などの試練を乗り越えたとき、町工場が持っている特許技術が、ロケット製造に必要なパーツだということがわかり、大手メーカーとのバトルが始まる。

参考:池井戸 潤 著 『下町ロケット』より

注目したいのは、町工場が特許を持っている一つのパーツが、ロケットの製造にとって非常に重要なパーツだということ。つまり、そのパーツがなければロケットを宇宙に飛ばすことができないのだ。

替えが効かない歯車になる

先程の話で言うと、社長も含めて機械のパーツなのだから、パーツならば「そのパーツがなければ機械が動かないパーツになる」という発想の方が正しい。
どうせ仕返しするなら、その機械の中で重要なパーツになってから、その機械から外れる方がよっぽど効果的な仕返しになるだろう。

また、主人公の佃がこんなことも言っている。

仕事というのは二階建ての家みたいなもの。一階部分は飯を喰うために金を稼いで生活していく現実的な部分。 だけど、それだけじゃあ窮屈だから夢がなきゃならない。それが二階部分だ。 夢だけ追っかけても飯を喰ってはいけないし、飯だけ喰えても夢がなきゃつまらない。

参考:池井戸 潤 著 『下町ロケット』より

主人公の佃は、どちらも諦めないと言っている。

経営難の町工場にもかかわらず、20億円の提示でも大手メーカーに特許権を譲らなかったのは、自分たちの技術でロケットを打ち上げたいという二階建ての二階部分が主人公のモチベーションになっていたから。

歯車というパーツの一部であっても、いずれ大きな仕事をしてやる!その為に重要な歯車になってやる!っていう、夢が必要なんだということを教えてくれたような気がする。

みなさんは平屋建て?それとも二階建て?

下町ロケット

というお話でした。

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