ひび割れ壺

ひび割れ壺 ~ 受け入れる度量とユーモアセンス

ひび割れ壺

Crazing pot

誰にだって欠点や弱点の一つや二つはあるだろう。少なくとも自覚はあるだろう。仕事中にその欠点が露呈して「自分はこの仕事に向いてないんじゃないか?」って思う瞬間って、今までに一度ぐらいあるんじゃない?今回はチームマネジメントのお話。

インドの寓話にこんな話がある。

ある水運び人は2つの壺を天秤棒の左右にぶら下げて肩に掛け、毎日水を運んでいた。片方の壺にはひび割れがあって、いつも水が半分こぼれていた。
ひび割れ壺は、いつも半分こぼしてしまうことを情けなく思い、いつもみじめな気持ちだった。
2年が経ったある日、ひび割れ壺はとうとう水運び人に言った。
「私は自分が恥ずかしい。ひび割れのために毎日半分しか水を運べず、半分しかあなたの役には立てていない。それがとても辛いんだ」
それを聞いて水運び人は、ひび割れ壺に優しく言った。
「今度、道端をよく見てごらん」
そう言われて次の日、ひび割れ壺は毎日通る道に美しい花が咲いてることに気付いた。美しい花を見て少し元気になった気がしたが、家に着いたとき、やはり水は半分しか残ってなかった。
「やはり私は役立たずの壺だ。ごめんなさい」
すると水運び人はこう言った。
「気付かなかったかい?道端の花は君の側にしか咲いてなかっただろう。僕は君のひび割れを知ってから、君の通る道に花の種をまいておいたのさ。毎日そこを通るたびに君は種に水をやり、花を育ててきたんだよ。僕は毎日その花を切り、食卓に飾ってきた。君のおかげでいつもきれいな花を眺めながら食事を楽しむことができるんだよ」

人を壺になぞらえ、人の欠点や弱点は言ってみれば壺のひび割れのようなモノだと言っている。確かにひび割れは壺によって違うユニークなもの。
水運び人は、壺を取り換えることもできたでしょうが、そうはせず、壺を責めることもせずに、ひび割れを受け入れて、うまく利用することで壺が悲観しないで済むように考えたわけです。

これをビジネスに置き換えるとどうだろう。

会社には色々な社員が居て、水運び人は上司、壺は部下です。
部下にはそれぞれ欠点や弱点があります。部下たちは自身にひび割れがあることを知っています。上司がそのひび割れ、つまり欠点や弱点に気付いたとき、その欠点や弱点をうまく活用して、業績につなげるような成果を上げるばかりでなく、部下たちに自信をもつけさせました。

水運び人は、ひび割れを個性と捉えて、それを活かす方が楽しく過ごせると考えました。普段から壺がひび割れを気にしていたことを感じていたに違いありません。
もし自分が上司やチームリーダーだったら、部下やチームのみんなをそこまで気を砕いて見ることができるだろうか。それをDisったり叩いたり、欠点や弱点を悲観させずにポジティブな方向へ持って行くことができるだろうか。
自戒を込めてそう思うわけです。

ひび割れ壺

というお話でした。

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