アダムとイヌ

アダムとイヌ ~ ギヴ・安堵・テイク

アダムとイヌ

Adam and Dog

懐かれればどんな動物でも可愛いものですよね。戌年だからってわけじゃないが、どっち派かと聞かれれば犬派、それも大型犬が好き。従順だし意思疎通がわかりやすくコミュニケーションが図りやすいし、人間っぽいところもある。持ちつ持たれつというお話。

旧約聖書『 創世記 』、有名なアダムとイブ(エバ)の話はみなさんご存知だろう。一応、あらすじをざっと話すと、

神にエデンの園の見張り役を任されたアダムとイブは、たった1つだけルールを課せられた。その唯一のルールは善悪の知識の実(禁断の果実)を食べてはいけないというもので、これ以外は自由だった。

しかし蛇(のちに悪魔の遣いといわれる)に騙されたイブは、その善悪の知識の実を口にしてしまい、それをアダムにも勧めて、アダムもその実を口にしてしまい神の逆鱗に触れ、アダムとイブはエデンの園を追放されてしまう。

参考:旧約聖書『創世記』

これによって罪に対する罰が定められ、エデンの園を追放されたことで生命の実が食べられなくなり死をむかえるようになり、労働を強いられる苦しみ、出産する産みの苦痛を与えられることになる。まさに創世記だ。

エデンの園でその様子を間近に見ていた動物がいた。イヌだ。アダムとイブが善悪の知識の実を口にしてからしばらく姿が見えなくなった2人を探し回り、すっかり見た目が変わってしまった2人をやっと見つける。

アダムとイブはエデンの園を追放されて、どんどん距離が離れていく。
イヌは離れていく2人を見て考え、迷い、そして人間についていくことにする。

持ちつ持たれつ

エデンの外は煩わしいこともいっぱい。昼間はヘトヘトになるまで狩りをしたり畑を耕し、夜は野獣に食糧や家畜を狙われないようにビクビクしながら心身が休まらない状態が続く。

一方、イヌはというと野生動物として森で暮らし、生きるために獲物を狩り、死肉を漁っていた。イヌはこの状況をお互いにとってチャンスだと考え、アダムにこう持ち掛ける。

あなたが安心して眠れるように、夜はわたしがあなたの家を見張ります
狩りの手伝いや家畜の番もします
その代わりにわたしを、あなたの家の火のそばで寝て、食べ物を分けてもらい、年をとって働けなくなってからも面倒を見てください

そう言ってイヌはしっぽを振り、アダムはその話に応じた。

その後、昼間はイヌが獲物を追い、家畜の世話も手伝ってくれた。
アダムはその見返りに約束通りイヌを火のそばに寝床を用意し、食事を与えた。

それ以来、イヌは人間のパートナーとなった。

ギルドの本質と関係としてはよく似ている。
持ちつ持たれつの関係。
それぞれがそれぞれの役割を果たせばみんなが楽できる。
それぞれが得意な分野で、誰かが何かの役に立つ、助け合いで成り立つ優しい組織、ギルドはそういう組織でありたいと願っている。

困った時はお互い様、だけど助けてもらってばかりでは成り立たない。だから別の機会に困った事態や困った人を助けることで、そのバランスは保たれる。
当の本人に返せなくても、誰かに恩を返すことができればギヴ・アンド・テイクは成立します。

以前、ペイ・フォワード(恩送(贈)り)の話をしたことがあります。まさに、恩を返さなくても、恩を送(贈)ることで組織やチーム、救われるメンバーが居ます。

つまり、ギブ・アンド・テイクはギブ・安堵・テイク。
主従関係ではなく、良きパートナーでありたいですね。

アダムとイヌ

というお話でした。

~ 本文で紹介された動画をご紹介 ~

旧約聖書 創世記 (岩波文庫)

~ 本文で紹介された動画をご紹介 ~

Adam and Dog – Animated Short Flim (Full HD)