割れ窓理論 ~ 楽しみはそのあとに

割れ窓理論 ~ 楽しみはそのあとに

割れ窓理論

Broken Windows Theory

僕がまだ学生だった頃は不良モノのドラマや物語がリアルにあってとても荒れてました。学校の窓ガラスが割れてるのなんか別に珍しくなかったし、わかりやすい不良がいた最後の世代かも…あ、勿論、武勇伝やノスタルジックな思い出話じゃなく苦手克服というお話。

誰にだって苦手なモノや敬遠したいモノはあるでしょう。そりゃそんなものないに越したことはありませんが現実は残酷で厳しいものです。
やらなきゃいけないと思っていても後回しになって、いよいよ億劫になって、渋々やるから余計に嫌いになる。こんな悪循環を断ち切りたいけどそれもなかなか難しい。今回はそんな状況を少し楽にしてくれるかもしれない理論を一つ披露しましょう。

その理論とは『 割れ窓理論 』というもので、 アメリカの犯罪学者 ジョージ・ケリング(George L. Kelling)が提唱しています。

建物の窓が割れたままの状態をしばらく放置してるいと、誰も気にしていない場所なんだと認識され、やがて他の窓も全て壊される

アリの一穴

壁の落書きなんかも同様で、スプレーで落書きされたのを放置していると、どんどん酷くなってエスカレートする。
やがてその地域の治安が悪化し、犯罪が増え、犯罪の程度もどんどん凶悪化する。
つまり軽度の犯罪を見逃していると、いずれ凶悪で重大な犯罪に繋がるという理論です。

しかしそれを逆手にとって改善に導いた人が居ます。有名なのはニューヨークの ジュリアーニ市長(Rudolph William Louis “Rudy” Giuliani III)の政策。
家族が安心して生活できる街を公約に掲げ、落書きや未成年者の喫煙、無賃乗車、万引き、花火、爆竹、騒音、違法駐車など軽犯罪を徹底的に取り締まり、5年間でニューヨーク市の治安が回復。
住民や観光客も増えて街が活気を取り戻しニューヨーク市の赤字解消に一役買いました。

また、 スティーブ・ジョブズが業績不振のアップル社に戻ったとき、遅刻は日常茶飯事でペットを連れてくる社員も居たり、それぞれが好き勝手に振る舞って崩壊寸前だった職場環境を厳しく取り締まり、改善することで業績を立て直したといいます。

楽しみはあとに

何となくこの理論は腑に落ちると思いますが、それじゃぁこれをどのように苦手克服に結びつけたらいいでしょうか。

今、放置しているタスク、例えば新しい技術習得のためにコーディングを勉強中とかデザインやイラスト、画像加工にチャレンジしてるとか、読みかけの本があるとかとか…なんだかんだで脇に追いやってる事は無いでしょうか。言ってみたらこれが割れた窓の状態。

そういう状況で一旦放置して、横目でチラチラ見ながら残タスクを増やし、更にタスクの山が積み上がりやがて崩壊。苦手なことを後回しにしたがためにタイムリミットが来てしまい、イヤイヤ、無理くりヤッツケでやることが更に苦手意識を増幅させる。夏休みの宿題とか確定申告などは正にそんな感じですよね。

ニューヨークの地下鉄車両や駅の落書きを消すボランティア参加者は、清掃後に気分が晴れやかになったとか気持ちの整理がついたとか、口々にポジティブな気分を語ったと言いいます。

どうせいつかはやらなければいけないことなら、割れた窓を直し、落書きを消してから先へ進む方が気分も晴れやかにメンタル的にも追い込まれずに、いろんなことを成し遂げられるでしょ?ってことなんでしょう。

好きな食べ物を後に取っておくって心理にちょっと似てる。ご褒美は後にね。

割れ窓理論

というお話でした。

~ 本文で紹介された書籍をご紹介 ~

入門 犯罪心理学 (ちくま新書)