自分の心に従う勇気
Stay Hungry. Stay Foolish.
ハングリーであれ愚か者であれ(Stay Hungry. Stay Foolish.)は、スティーブ・ジョブス氏、がスタンフォード大学卒業式スピーチで最後に贈った言葉です。膵臓がんと向き合いながら若者に語りかけた第3話は、スピーチ全体の中で最も深い重みを持ちます。今回は、「突き進む力」というお話。(1番目はコチラ)(2番目はコチラ)
ハングリーであれ愚か者であれ
第3話は、これからの人生を歩む若者たちに向けたメッセージです。スティーブ・ジョブズ氏は、2005年のスタンフォード大学卒業式で、自分の心と直感に従うことの大切さを語りました。
その背景には、人生の有限さを強く意識した経験があります。ジョブズ氏はスピーチの中で、がんの診断を受け、医師から身辺整理を勧められた出来事を振り返っています。死を身近に感じたからこそ、人生で本当に大切なものが何かを考えるようになったのです。
だからこそ、彼は若者たちに、他人の期待に応えるためだけに生きてはいけないと伝えました。自分の時間には限りがあります。つまり、誰かの考えに従うだけで人生を終えてしまうのは、あまりにももったいないのです。
そして、スピーチの最後に贈られた言葉が「Stay Hungry. Stay Foolish.」でした。この短い言葉には、現状に満足せず、失敗を恐れずに挑戦し続けてほしいという願いが込められています。
ハングリーであれ、愚か者であれの本質
ジョブズ氏はスピーチの中で、他人の考えに縛られないことについて、次のように語っています。
あなた方の時間は限られています。だから、他人の人生を生きることで時間を無駄にしないでください。
他人の意見に、自分の内なる声がかき消されないように。そして何より大切なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。
——スティーブ・ジョブズ氏のスタンフォード大学卒業式スピーチより(要約)
ここでいう「ドグマ」とは、疑うことなく正しいと信じ込まれた教義や考え方を指します。ジョブズ氏は、他人の考えを参考にするなと言っているわけではありません。問題なのは、周囲の意見を優先するあまり、自分自身の考えを見失ってしまうことです。
たとえば、安定した仕事に就くべきだという意見も、誰かにとっては正解でしょう。しかし、自分が本当に挑戦したいことを諦める理由にしてしまえば、それは他人の価値観で人生を決めることになります。
もちろん、自分の直感だけですべてを決めればよいわけでもありません。だからこそ、周囲の意見を聞きながら、最後は自分で考え、選ぶことが大切なのです。
では、「ハングリーであれ」とは何でしょうか。それは、今の自分に満足しきらず、もっと知りたい、もっと成長したいという気持ちを持ち続けることです。
一方、「愚か者であれ」は、周囲から無謀だと思われることを恐れず、新しい可能性に踏み出す姿勢と捉えられます。失敗しないことばかりを優先すれば、挑戦できる機会まで失ってしまうかもしれません。
つまり、この言葉は無計画に突き進めという意味ではありません。自分の心に正直であり続け、失敗を恐れずに可能性を探してほしいというメッセージなのです。
ハングリーであれ愚か者であれを今に活かす
ジョブズ氏の言葉を日常に活かすには、まず「自分は本当は何をしたいのか」と問い直してみることです。
私たちは、知らず知らずのうちに周囲の期待を優先してしまいます。失敗したら恥ずかしい。人から変だと思われたくない。そんな気持ちから、本当は挑戦したいことを後回しにする場合もあるでしょう。
しかし、何もしなければ、新しい可能性に出会う機会も生まれません。だからこそ、小さな一歩から始めてみるのです。
たとえば、興味のある分野を学んでみる。自分の作品を公開してみる。あるいは、これまで避けていた仕事に挑戦してみる。最初から大きな成果を求める必要はありません。実際に行動することで、自分に合うものや、本当に好きなものが見えてくることもあります。
もちろん、挑戦した結果、思いどおりにならないこともあります。それでも、失敗したからといって、その挑戦が無意味だったとは限りません。何が合わなかったのかを知ることも、次の選択に役立つ経験だからです。
さらに、自分の信念を持つことと、他人の意見を拒絶することは違います。周囲からの助言を受け入れながら、自分が進みたい方向を考え直すこともできます。
大切なのは、誰かが決めた正解だけを追いかけないことです。自分の好奇心を大切にし、納得できる道を探し続けましょう。
ハングリーであれ。愚か者であれ。私自身、いつもそうありたいと思っています。そして今、卒業して新たな人生を踏み出すあなた方にもそうあってほしい。ハングリーであれ。愚か者であれ。ありがとうございました。
スティーブ・ジョブス スタンフォード大学卒業式スピーチ(2005年6月12日)より
ちなみに…
ちなみに、「Stay Hungry. Stay Foolish.」は、ジョブズ氏が自ら考案した言葉ではありません。彼がスピーチの最後に紹介したのは、スチュアート・ブランド氏が創刊した『Whole Earth Catalog(ホールアース・カタログ)』の最終号に記されていた言葉です。
自分の欲求に素直に、そして貪欲に。なりふり構わず突き進む。
ハングリーであれ。愚か者であれ。私自身、いつもそうありたいと思っています。そして今、卒業して新たな人生を踏み出すあなた方にもそうあってほしい。ハングリーであれ。愚か者であれ。ありがとうございました。
スティーブ・ジョブス スタンフォード大学卒業式スピーチ(2005年6月12日)より
ジョブス氏はスピーチの中でこのカタログを「インターネットが生まれる35年前に、Googleのようなものが冊子として存在していた」と紹介しています。書籍・ツール・技術情報を幅広く取り上げたこのカタログは、当時の若者のバイブル的存在でした。
そして、カタログの最終号に記された言葉を、ジョブズ氏は自分の人生を振り返ったスピーチの締めくくりに選びました。若い頃に出会った言葉が、長い年月を経て、次の世代へ向けたメッセージになったのです。
言葉の意味は、受け取る人の経験や時代によっても変わります。だからこそ、誰かの言葉をそのまま信じるだけでなく、自分の人生に照らし合わせて考えることが大切です。
言葉には、時代を越える力がある
ハングリーであれ。愚か者であれ
というお話でした。
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登録・出展
スティーブ・ジョブズ氏のスタンフォード大学卒業式スピーチ(日本語訳)
「Stay Hungry, Stay Foolish」の意味と背景(幻冬舎plus)
「Stay Hungry, Stay Foolish」の訳を考える(株式会社アイ・エス・エス)

ゲツコーギルド合同会社 CEO兼クリエイティブ・コンサルタント
約30年ほど前、インターネットの黎明期から企画・マーケティング、システムやネットワーク開発など、文字通りWEB業界を創ってきました。徐々に大規模プロジェクトが増えたことに伴い、プロデュースやディレクション、コンサルティング、マネジメントを求められるようになり、東日本大震災をきっかけに、フリーランスの地位向上と働き方の創出のために制作ギルドを創立。配信やセミナーなど育成や再生も開始し、デザイナーやコーダーはもちろん、ディレクターやプロデューサーも数多く輩出しています。