成功へのカンニングペーパー
30,000 days in your life
あなたの人生は30,000日。これは概ね82歳まで生きた場合に与えられる日数だ。24歳のある日、ネットでこれを見かけて計算してみると、既に9,000日を消費していたことに衝撃を受けた青年がいる。今回はその青年の出身大学でもあるMITの卒業式でのスピーチを紹介。成功へのカンニングペーパーというお話。
2013年春、MIT(マサチューセッツ工科大学)の卒業式の壇上に彼は立っていた。米Dropbox社の共同設立者兼CEO ドリュー・ヒューストン氏。卒業する後輩に向けてのスピーチ。
起業してから何度も失敗したり、後輩に追い抜かれたりと挫折の繰り返しだった創業当時を振り返りながら、彼は卒業生に「成功へのカンニングペーパー」をプレゼントとして用意したと話している。
そのカンニングペーパーには3つのことが書かれていたので、1つずつ見ていこう。
1. it’s about finding your tennis ball
自分を惹きつけるテニスボールを見つける2. who would be in your circle of 5?
あなたのサークルにいる5人は誰?3. 30,000 days in your life
あなたの人生は30,000日
自分を惹きつけるテニスボールを見つける
彼が小さかった頃に飼っていた犬がテニスボールを見るとメチャメチャ喜び、投げるや否や、がむしゃらに追いかけ回し、くわえて戻ったらまた追いかけてを楽しそうに繰り返す。
彼ははじめに、好きなことを仕事にしなさいって言うつもりだったようだが、それは本質ではないと感じたようだ。なぜなら、みんな今やっていることが自分の好きなことだと思い込むようにしているし、誰もが自分が嫌いなことをやっているなんて思いたくないからだろう。確かにそういう側面はあるだろう。現在の仕事を胸張って好きな仕事だと言える人がどれくらい居るだろう。
続けて、最も幸せで成功している人たちは、好きなことをしているというよりも、自分にとってのチャレンジだったり、攻略することに無我夢中って感じで、仕事に心を奪われていると表現している。
つまりその様が、テニスボールを無邪気に追いかけ回して楽しんでいる犬のようだっていう例えなんだけど、問題は多くの人がそのテニスボールを簡単に見つける事が出来ないところにある。
そしてこんなメッセージを残している。
人が一生懸命働くのは人より優れているからではなく、問題を解決することが楽しいから一生懸命働けるのです。 だからこれからは、自身を追い詰めることに一生懸命になるのではなく、自身を惹きつけるテニスボールを見つけてください。時間が掛かるかもしれません。でも見つかるまでは自身の内なる声に耳を傾け続けてください。
Dropboxは、当初メインの事業ではなく、メインの事業の傍らで遊びとして創られたものだったが、小さな内なる声がそちらに舵を切れと囁いていたそうだ。
しばらく聞こえないフリをしていたが、結果として世界的に有名なサービスに成長した。その内なる声は正しかったということになる。
あなたのサークルにいる5人は誰?
あなたの価値は自分と一緒に過ごす5人の平均値で決まるとよく言われる。
何かを成し遂げようとするとき、身近にいる人たちでその先の進路が決まってしまうので、MITはその点で、優秀な人材の宝庫だから恵まれてるんだと卒業生に訴え掛けている。
ギルドもそうだが、どういうスキルや知識、経験を持った人がメンバーなのかによって、提供できるデザインやコーディングのクオリティが大きく変わる。
また将来、どんなことをやりたいとか、何を目指しているのかといった、夢や目標、ビジョンを持っているかどうか、そのために具体的に何をしているかなどによって、進むべき道が右なのか左なのか決まるので、サークルにしてもユニットにしてもギルドにしても、組織であればメンバーやその周りにいる協力者に、どういう人を置くかは大事なファクターになる。
彼は自身の体験を踏まえて、こんなメッセージを卒業生に送った。
自分に刺激を与えてくれる人と一緒に過ごすことは、自分の才能を開花させることや一生懸命に仕事をすることと同じぐらいに大切です。
これからみなさんの周りのサークルは広がっていくでしょう。自分がどの道に進もうとも、必ずその道の最高の人達が集まる場所がありますので、迷わずその場所に行くべきです。どこか他の場所で落ち着いてしまってはいけません。 こころから尊敬できる人達と出逢い、彼らから学べることはとても大きなメリットになります。尊敬する人達が自身のサークルの一部になるのです。
もしも自身の中で真の何かが動き出した時には、また必要な場所へと移動するべきです。
テニスボールを見つけたらそれで終わりじゃない。壁にぶち当たることもあるだろう。そういう時に教わったり、助けてくれたり、逆に助けたりする仲間は欲しい。仕事する上で働く環境は大事だから一ヶ所にとどまらずに、必要なら移動して吸収する姿勢が必要だろう。
あなたの人生は30,000日
冒頭に30,000日についてはタネを明かした。彼は約1/3を消化してしまってることに衝撃を受けているが、僕はもう折り返し済みだ。
これは何を意味しているかというと時間は有限だっていうこと。
学び続けることは最も重要なことですが、”行動に移す” ことが最も早く学べる道なのです。夢や目標があって、その夢のために一生を掛けて学び、計画し、準備をしながら過ごすこともできますが、今みなさんがしなければならないのは「はじめること」です。
誰も人生でパーフェクトな成績を収めることなどできません。大学を卒業すればGPA(学校の成績)など関係ないのです。
ビル・ゲイツ氏の最初の会社は信号を操作するソフトウェアを創っていましたし、スティーブ・ジョブズ氏は最初の会社では、無料で話ができるプラスチックの笛を創っていました。
どちらの会社も成功しませんでしたが、彼らがそんなことを気にしているとは思えません。これからの人生で失敗したってそんなに大した問題ではありません。
人生でたった一度、正しければそれでいいのです。
サンフランシスコに移ったばかりのある夜、眠れずにインターネットを見ていると”あなたの人生は30,000日”という言葉を見つけました。
計算機で24歳×365日と打ち込み、なんてこった、もう9,000日近く終わっちゃってる!今まで何をやっていたんだ!と思いました。
その夜、もう準備をしている暇なんてない。練習は終わりだ。リセットボタンなんてどこにもないと思いました。
周りの環境を整えても、学んでいるだけでは目的を達成できない。
コラムでも何度かテーマとして「行動する」ことの重要性を取り上げている。実践でしか得られない情報やスキルがある。
失敗する可能性はあるが、だから何もしないというのは、何もしなかったことに対する言い訳、詭弁以外の何物でもない。
彼自身もスピーチの中で、今まで一度も準備万端だったことなどないと言っている。準備が出来ていないのに出資が決まり、大金を手にしたというエピソードを話しているが、とにかく走り出すことも時には必要だと僕も思う。
チャンスの神様は残念ながら寛大じゃない。そう何度もチャンスは訪れないから、やるべき時にやらなければ二度と巡ってこないってことだってある。踏み出さなければ何もはじまらないし、何も変えられないという考えには同意する。
そして、彼は最後にこうスピーチを締めくくる。
毎日、私たちは少しずつ人生の物語を綴っています。私は人生をパーフェクトにするのではなく、おもしろくしたい。人生の物語をアドベンチャーにしたいのです。その気持ちが他人との差となるのです。
祖母がいつも電話の最後に ”Excelsior(エクセルシオール)” と言います。「常に向上心を持って」という意味です。卒業生のみなさん、完璧な人生を歩むのではなく自由に冒険しよう!常に向上心を持って。ありがとうございました。
成功へのカンニングペーパー
というお話でした。
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