ヘンゼルとグレーテル
Hansel and Gretel
今日、娘がある本を持ってきて読んでとせがまれたが、読み聞かせに適してるか微妙な感じだ。娘が持ってきた本はグリム童話『 ヘンゼルとグレーテル 』…ね、微妙でしょ。今回はリーダーというお話。
童話でありながら善人が一人も出てこない、結構エグい内容だったと記憶している『 ヘンゼルとグレーテル 』。みなさんは読んだことがあるだろうか。タイトル先行で内容を知らない人も多いのでは。
内容は、時代や国によって多少、手が加えられているようだが、概ねあらすじはこんな感じ。
貧しい木こりの家で育ったヘンゼルとグレーテルの兄妹は、ある日食べることすらままならない状態になり、母親に口減らしのために森に棄てられてしまう。
二人は道に迷い森を彷徨い歩くうちに、お菓子でできた家を見つける。
それは魔法使いの老婆の家で、二人は老婆につかまってしまう。
鳥小屋に閉じ込められたヘンゼルが魔法使いに食べられそうになったとき、グレーテルの機転で危うく難を逃れ、逆に魔法使いを焼き殺してしまう。
ヘンゼルは逃げ出す前に、魔法使いが隠し持っていた宝石をポケットに沢山持ち帰り、その宝石で一生、不自由無く暮らした。
読み聞かせを終わって、やっぱり適してないと感じる。娘も微妙な顔だ。
童話としてエグい感じに変わりないが、以前読んだ時と少し印象が違った。以前はヘンゼルがグレーテルを守る物語のように感じていたが、今回読んでみて逆だったことに気が付いた。
この話は、女性が男性を助ける話なんだと。
女性制作ギルドを始めたから意識が変わって見方が変わったのか、僕が男だから自然と以前はヘンゼルに投影して読んでいたのか、いずれにしても何かが変わった。今回は俯瞰して、いやむしろグレーテルの立場で物語を読んでいた。
はじめは兄のヘンゼルが頭を使って生き残るために、妹のグレーテルを必死で守ろうとする。グレーテルはそんな兄を頼ってついていくが、魔法使いに捕えられてからは、グレーテルが生き残るために必死でヘンゼルを守ろうとする。
そう、ある時期から立場が逆転するのだ。
ヘンゼルが捕えられ引き離されたグレーテルが、一人で立ち向かっていく様子が、「自立」と「力強さ」を感じさせる。そして改めて、女性制作ギルドもこうなる時期がきっと来ると期待するわけです。
Qrious(キユリアス)を設立してもう3年以上。今はまだ僕が率いているが、いずれはメンバーの中からリーダーとなる者が出てきて、いつの間にか、そのリーダーがこの制作ギルドを引っ張るようになる。
そうなって初めて、女性のクリエイティブ集団としてQriousが完成すると思うのだ。
女性の制作ギルドというと「か弱くて、守るべき存在」などと幻想を抱いているかもしれないが、実際は「図太く、力強い存在」で、まさにグレーテルが魔法使いをかまどに蹴り入れるようなしたたかさを持っている。
あ、メンバーが見てたらいけないのでこの辺で。
Qriousは上下関係のないフラットなギルドなので、誰か一人でリードするという感じじゃないのかもしれない。頭脳派のヘンゼルと武闘派(?)のグレーテルの兄妹のように、シーンに応じて必要なときに必要とされる人がリードしていくような組織であってほしいと思うわけです。
話はちょっと脱線するが、WEB制作で現在地を示す「パンくずリスト」(breadcrumbs list,topic path)は、母親が兄妹を森に捨てに行くときに、家路までの道のりがわからなくならない様に、ヘンゼルがランチのパンをちぎって落としていくという内容に由来している。
サイト規模が大きくなればなるほど階層が深くなり、ユーザーが迷子になる確率も高くなる。なるほどユーモアを感じる。
ちなみに、ヘンゼルが落としたパンくずは鳥たちに食べられてしまい、結果、迷子になってしまうが、鳥たちはお礼とばかりに「お菓子の家」に連れて行ってくれる。今思えば、これも魔法使いの誘導だろう。
WEB制作においても、組織の運営においても、間違ったリードをしてしまうと最悪な結末が待っているという教訓だろうか。
お菓子の家ではなく、おかしな家へと…ゾッとする。
ヘンゼルとグレーテル
というお話でした。
~ 本文で紹介された書籍をご紹介 ~
You Might Also Like

ゲツコーギルド合同会社 CEO兼プロデューサー
2016年に東京下町から瀬戸内の離島に移住。クリエイターの働き方や人財育成、再生、地域でのクリエイティブやICTを活用したブランディングや地域創生、事業再生を得意としたプロデュースやディレクションで活躍中。メガネ&広島弁や伊予弁など方言女子が大好物。個人的には懐古的なモノがスキ。ネガティブ属性だがユーモアを忘れない。1970年 江戸下町産。