ネズミの相談
Bell the cat
同業者が集まってお酒を飲むと、「こんな面白いことをやってみたい!」と盛り上がることがよくあります。大半はくだらない雑談で終わりますが、ごく稀に素晴らしいアイデアが生まれることもあります。しかし、どれほど魅力的な企画も実行に移さなければ、ただの「絵に描いた餅」に過ぎません。今回は「行動力と推進力」…というお話。
酒の席のブレスト
同業者が集まってお酒を飲むと、「こんな面白そうなことをやってみたい!」と盛り上がることがよくあります。こうした無邪気で無責任なアイデア出しは実に楽しいものですが、その場のノリで終わってしまい、実際に形になることはほとんどありません。
この状況は、イソップ寓話の「ネズミの相談」にとてもよく似ています。猫の被害に悩むネズミたちが集まり、「猫が来たらすぐわかるように、首に鈴をつけよう」という名案を思いつきました。しかし、「では、誰が猫の首に鈴をつけるのか?」と問われると、危険を冒してまで名乗り出るネズミは一匹もいませんでした。
どんなに素晴らしいアイデアであっても、実行に移さなければ「絵に描いた餅」に過ぎません。ひらめいたアイデアを行動に移すことこそが、最も難しく価値のあるプロセスなのです。
参考:えほんキッズ『ねずみの相談』完全版(絵本ムービー)
ネズミたちは、いつも猫に酷い目に遭わされていた。
ネズミたちはこの現状を何とかしようと集まって相談することにした。
すると、その中の一匹が、
「猫が来たらすぐわかる様に猫の首に鈴を付けよう!」
と提案する。みんなは名案だと大喜びした。
しかし別のネズミが一言、
「でも誰が猫の首に鈴を付けるのさ」
とみんなに問うと、誰もその役を買って出るネズミは居なかった。
イソップ寓話『ネズミの相談』より
確かに。誰かがやらねばならぬ…
「猫の首に鈴をつける」推進力と行動力
僕が率いるクリエイティブユニット組織「Qrious(キユリアス)」も、設立当初は各自がやりたいことに挑戦するワーキンググループとしてスタートしました。集まった創業メンバーは優秀でスキルも十分でしたが、結果として決定的なものが欠けていました。それが「行動力」と「推進力」です。
当時の状況はまさに「ネズミの相談」そのものでした。アイデアや方法論は揃っているのに、危険や手間を取って「鈴をつけに行く人」が誰もいなかったのです。サークルではなく成果を生み出す組織である以上、自らリスクを取って動けるメンバーが必要です。
そこで創立から3か月後、やる気や行動力のないメンバーには去ってもらい、推進力のある新しいメンバーを迎え入れました。その結果、新体制となった組織はスピード感を持って素晴らしい実績を次々と作り上げることができたのです。
小さな実行の積み重ねが成果に繋がる
アイデアを思いついたときは、あれこれ悩む前にまずやってみる姿勢が大切です。誰も手をつけない下らないと思えるようなことでも、真剣に取り組んで形にできれば、それは確かな自信へと繋がります。
最初から大きな成果を目指す必要はありません。きっかけは飲み会の雑談でも何でも構いません。気負わずに思いついたチャレンジを即座に試してみる。その積み重ねと繰り返しこそが、やがて大きなプロジェクトや成果へと繋がっていきます。
大切なのは、「誰かがやるだろう」と待つのではなく、自ら行動を起こすことです。
さあ、あなたは猫の首に鈴をつけるネズミになれますか?
ちなみに…
ちなみに、「猫の首に鈴をつける(Bell the cat)」というフレーズは、イソップ寓話を経て英語圏でもそのまま慣用句として使われています。
意味は「正論で名案だが、実行不可能な計画」。中世ヨーロッパの文学作品『農夫ピアズの幻想』などにも登場しており、何百年も前から「口だけで誰も動かない会議」を繰り返し、同じ失敗に頭を悩ませていたようです。時代や国が変わっても、人の本質は変わらないということですね。
それはそうと、何故ネズミたちは猫たちに酷い目に遭わされるのか?って話を、お正月辺りに書こうと思う。(『 十二支 』参照)
理由がわかれば、なるほど!って納得してもらえるだろう。
ネズミの相談
というお話でした。
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ゲツコーギルド合同会社 CEO兼クリエイティブ・コンサルタント
約30年ほど前、インターネットの黎明期から企画・マーケティング、システムやネットワーク開発など、文字通りWEB業界を創ってきました。徐々に大規模プロジェクトが増えたことに伴い、プロデュースやディレクション、コンサルティング、マネジメントを求められるようになり、東日本大震災をきっかけに、フリーランスの地位向上と働き方の創出のために制作ギルドを創立。配信やセミナーなど育成や再生も開始し、デザイナーやコーダーはもちろん、ディレクターやプロデューサーも数多く輩出しています。