雪の女王

雪の女王 ~ 心に刺さった鏡の破片

雪の女王

Shards of Distortion

街中がクリスマスの輝きに包まれるこの季節。もしあなたの目に映る世界が、急に色褪せ、歪んで見え始めたとしたら……。毎年、この時期はクリスマスに関連しそうな話題を取り上げてます。アンデルセンの傑作『雪の女王』の冒頭には、恐ろしい「悪魔の鏡」が登場します。今回は 心の破片 というお話。

美しいものを醜く変える「悪魔の鏡」

ハンス・クリスチャン・アンデルセン(丁:Hans Christian Andersen、1805年4月2日 – 1875年8月4日)によって生み出された代表作『雪の女王』。

この物語『雪の女王』のきっかけは、悪魔が作った一枚の鏡。

その鏡は、美しいものを醜く映し、正しいものを歪めて見せるという最悪の性質を持っていました。ある時、その鏡が割れて地上に降り注ぎ、人々の「目」や「心」に刺さってしまう。

美しいものを醜く見せる鏡。この「歪み」こそが、『雪の女王』という物語の核心です。

鏡の破片が刺さった少年カイは、あんなに仲の良かった友だちが急に嫌な奴に見え、美しかったバラの花が虫の食った汚いものに見えるようになった。そして、冷徹な「雪の女王」のソリに乗り、凍てつく北の国へと去ってしまう。

「割れた鏡」が刺さる時

SNSの世界でも、これと同じことが日々起きています。

見ず知らずの誰かから投げられた心ない批判。同業者からのマウントや下げる発言。そうした言葉に晒されると、これまでの誇りや尊厳が踏み荒らされたような感覚に襲われることがあります。

また、仲間の高評価やクライアントの感謝の言葉さえ「どうせお世辞でしょ」と歪んで聞こえるようになる。これが、悪魔の鏡の破片が心に刺さった状態です。

一度視界が負のループに陥ると、私たちは自分から進んで孤独な「雪の城」に閉じこもり、心を凍らせてしまうのです。

批判と誹謗中傷は別物

モノづくりや表現する仕事に携わる者にとって、批判的な意見であっても甘んじて受け入れる姿勢は大切です。良くも悪くも評価されることが、成長へとつながるからです。

しかし、誹謗中傷や人格否定など、本質とは違うところでの「悪意ある言葉」は別物です。浴び続けるとメンタルを病んだり、こじらせてしまう。自己防衛のために鏡の破片から逃げるのは、当然のことです。

つまり、すべての批判を受け入れる必要はありません。悪魔の鏡から距離を置くことも、クリエイターとしての自衛です。

氷のパズルを解き明かす「温かな涙」

孤独な雪の城で、カイは雪の女王から「永遠」という言葉のパズルを解くように命じられます。しかし、心が凍っている彼には解くことができません。

彼を救ったのは、幼馴染のゲルダでした。ゲルダはカイを信じて探し続け、温かな涙を流しました。その涙がカイの胸に落ちた時、凍った心が溶け、刺さっていた鏡の破片が洗い流されたのです。そして、カイの視界は再び光を取り戻しました。

傷ついたメンタルや崩れかけたクリエイターとしての尊厳を取り戻すためには、きっとその「温度」が必要です。

誰かの批判や数字のプレッシャーで視界が歪んだとき、一度画面をそっと閉じてみてください。そして、自分を肯定してくれる仲間やユーザーの声を思い出す。あるいは、最初に「モノづくりが楽しい」と思った時の熱量を思い出してみてください。

自分の価値を他人の物差し、つまり悪魔の鏡で測るのをやめたとき、目の前の世界は再び本来の美しさを取り戻せるはずです。

ちなみに…

ちなみに、アンデルセン自身も非常に繊細で、批評家の言葉に一喜一憂し、旅先で号泣するほど自己肯定感の揺らぎが激しい人だったと言われています。あの『雪の女王』は、誰よりも「心の破片」に苦しんだ彼自身への、再生の祈りだったのかもしれませんね。

メンタルやコンプレックスとの向き合い方についてはインポスター症候群赤鼻のトナカイでも触れているので、合わせて読んでみてください。

雪の女王

というお話でした。
メリークリスマス!

~ 本文で参考にした書籍をご紹介 ~

(出典・参考)