赤鼻のトナカイ

赤鼻のトナカイ ~ 欠点という名の「光」

赤鼻のトナカイ

Rudolph the Red-Nosed Reindeer

クリスマスソングの『赤鼻のトナカイ』は知ってますよね?赤い鼻にコンプレックスがあるトナカイの歌ですけど、じゃぁこの歌に物語があるのは知ってますか?要約すれば歌の内容のまんまなんですが、冬イベントの話も年に1回くらいはいいですよね。今回は コンプレックス のお話。

父から受け継がれた「赤い光」

クリスマスソングの定番『赤鼻のトナカイ』。この物語は1939年、シカゴの広告会社でコピーライターとして働いていたロバート・ルイス・メイ(米:Robert Lewis May、1905年7月27日 – 1976年8月10日)によって生み出されました。

実は、この物語の誕生には切ない背景があります。当時、ロバートの妻は病床にありました。幼い娘は「どうして私のママはみんなと違うの?」と悲しんでいました。娘を元気づけるために彼が即興で語って聞かせたのが、赤い鼻のトナカイ「ルドルフ」の物語だったのです。

ロバート自身、子どもの頃は小柄でいじめられており、常に「自分は周りと違う」という疎外感を抱えていました。物語の中のルドルフもまた、ピカピカ光る鼻を笑われ、仲間外れにされます。自分の個性を「恥ずべき欠点」だと思い込み、隠そうとしていた。

しかし、そんなルドルフの「違い」こそが、猛烈な霧で立ち往生していたサンタクロースを救う唯一の希望となります。

つまり、この『赤鼻のトナカイ』という物語は、作者自身の痛みと娘への愛から生まれた「欠点の肯定」のメッセージなのです。

おまえの鼻が必要だ!

猛烈な霧が視界を遮り、クリスマスプレゼントを届けることが不可能に思われたその夜。サンタクロースはルドルフの光る鼻を見つけ、こう告げました。

「ルドルフ、君のその光り輝く鼻で、今夜のソリを導いてくれないか」

それまで「隠すべき恥」だと思っていた赤鼻を、サンタは「世界を救うための光」として必要としたのです。ルドルフにとって、これは単なるお願いではありませんでした。

自分の存在そのものが、ありのままで誰かの役に立つ。それを知った、震えるような肯定の瞬間でした。

つまり、コンプレックスと向き合うとは、それ自体を消し去ることではありません。それが活きる場所を見つけること、なのです。

「違う」からこそ、その道で活かせる

ルドルフは勇気を出して先頭に立ち、赤い光で真っ暗な霧を切り裂きました。他のトナカイたちが持つ「立派な角」も「美しい毛並み」も、この霧の中では何の役にも立ちません。

わたしたちも同じです。周りと違う自分に怯え、平均的であろうと自らを律してしまうことがある。しかし、クリエイターであれば尚のこと、赤鼻のトナカイのルドルフのように自分の個性を受け入れ、それを誇りとして掲げたとき、道は拓かれます。

全身全霊でその光を放つとき、かつてのコンプレックスは、あなたを導く唯一無二のアイデンティティへと昇華されるのです。

コピーライターの誇り

この物語を執筆中、ロバートの妻はこの世を去りました。深い悲しみの中にありながらも、彼は筆を止めませんでした。「娘のためにこの物語を完成させなければならない」という一心で書き続けたのです。

また、広告会社の上司からは「赤い鼻は酔っ払いのようで不吉だ」と反対されました。しかし彼は、友人の画家にスケッチを描かせ、その愛らしさを証明して企画を通したそうです。

プロの表現者として、自分の信じた「価値」を最後まで守り抜く。この強固な意志があったからこそ、赤鼻のトナカイルドルフは時代を超えて愛される存在になったのです。

ちなみに…

ちなみに、ルドルフ以外のトナカイにも全員名前があるのをご存知ですか。もともとは1823年の詩に登場した8頭に、後からルドルフが加わって9頭になりました。

ダッシャー(突進者)、ダンサー(踊り手)、プランサー(跳ね回る者)、ヴィクセン(口やかましい女)、コメット(彗星)、キューピッド(愛の神)、ドナー(雷)、ブリッツェン(稲妻)。それぞれの名前に由来する個性があります。

そうして、彼らがチームとしてソリを引く中で、最後に加わった「はみ出し者」のルドルフがリーダーを務める。この多様性こそが、クリスマスの奇跡を支えているのかもしれませんね。

コンプレックスや個性との向き合い方についてはインポスター症候群でも触れているので、合わせて読んでみてください。

赤鼻のトナカイ

というお話でした。
メリークリスマス!

~ 本文で参考にした書籍をご紹介 ~

(出典・参考)