自分ルール

自分ルール ~ 制約が遊びを面白くする

自分ルール

I decided for myself

子どもの頃、自分ルールで遊びながら移動した記憶はありませんか。白線だけを踏んで目的地に向かう、赤信号に引っかからないと今日一日ラッキー、影のところだけを歩く。うまくいかなくなりそうなときは特別ルールを追加したりして。大人になった今も、実は自分ルールは生きています。今回はズバリ、「自分ルール」というお話。

自分ルールの正体

子どもの頃に考えた自分ルールを、あらためて振り返ってみるとよくできています。

白線だけを踏んで歩く。横断歩道のマス目の中だけを踏む。影になっているところだけを歩く。電柱と電柱の間を何歩で歩き切るか決める。赤信号に引っかからないと今日一日ラッキー。うまくいかなくなってきたら特別ルールを追加して、なんとかクリアできるようにする。

普通に歩けばいいだけの道に、わざわざ制約を加えています。しかもその制約は、誰かに強制されたものではありません。自分で決めたルールだから、守ることに意味があるのです。

制約があると、なぜ楽しくなるのでしょうか。それは、目標が生まれるからです。ただ白線の上を歩くだけのことが、「踏み外さずにゴールまでたどり着く」という小さなゲームに変わります。失敗してもペナルティはありません。しかしなぜか悔しくて、もう一度チャレンジしたくなる。制約が「遊び」を作り出しているのです。

チェスや将棋、スポーツなど、あらゆるゲームは制約でできています。ルールがなければゲームは成立しません。子どもが直感的に知っていた「制約が遊びを面白くする」という法則は、実はあらゆる創造的な活動の根底にあります。

自分ルールが創造性を引き出す

制約と創造性の関係は、アートやビジネスの世界でも繰り返し証明されています。

俳句は「五・七・五」という制約の中に、広大な世界を詰め込む詩の形式です。17音という制約があるからこそ、言葉が研ぎ澄まされます。ツイッター(現X)が当初採用していた140字制限も、短く鋭い言葉を生み出す文化を作りました。制約がなければ、あそこまで濃密な表現は生まれなかったかもしれません。

デザインの現場でも同じことが起きます。「このサイズに収める」「この色しか使えない」「このフォントだけ」という制約がある方が、アイデアが出やすいという経験をしたことはないでしょうか。選択肢が無限にある状態は、自由なようで実は最も難しい状況です。制約があることで、思考が絞られ、判断が速くなり、独創的な解決策が生まれやすくなります。

Qriousのメンバーへの制作指示でも、「なんでもいいので作ってください」よりも「このテーマで、この形式で、このターゲットに向けて」と条件を絞った方が、はるかにクオリティの高いアウトプットが上がってきます。自分ルールという制約は、クリエイターの力を引き出すための仕掛けでもあるのです。

大人の自分ルールをつくる

子どもの自分ルールがゲームを作るように、大人の自分ルールは仕事と生活に軸を作ります。

自分ルールは、いわゆる「習慣」や「こだわり」とは少し違います。習慣は積み重ねることで形成されるものですが、自分ルールは最初から意図的に設定するものです。「これをやる」ではなく「これだけはやる」「これだけはやらない」という自分との約束です。

たとえば、こういった自分ルールが仕事の質を変えることがあります。

締め切りを必ずクライアントの提示日より前に提出出来たらご褒美。返信を24時間以内に行ったら良いことが起こる。一度案件を断ったら新たに案件が入る。

ルールを守れない日もあります。そういう時は、子どもの頃と同じように特別ルールを追加して、なんとかクリアできるように工夫する。完璧に守ることが目的ではなく、自分ルールがあることで、行動に一貫性と遊び心が生まれることが大切なのです。

自分ルールは他人に評価してもらうものではありません。誰も見ていなくても守ることに意味があります。それが習慣になった時、自分だけのスタイルと信頼が積み上がっていきます。

ちなみに…

ちなみに、世界的に活躍するクリエイターやアーティストには、独特の自分ルールを持つ人が多くいます。作曲家のベートーヴェンはコーヒーを淹れる際に必ず豆を60粒数えていたといわれています。また、村上春樹は毎朝4時に起きて5〜6時間書き続け、午後は走るかプールで泳ぐという生活リズムを何十年も続けています。

ルーティンであり、自分ルールです。傍から見れば意味のないこだわりに映っても、本人にとってはそのルールが創作の入り口になっています。

自分ルールに正解はありません。白線を踏みながら歩いた子どもの頃の感覚を思い出して、今日から自分だけのルールをひとつ作ってみてください。

ゲームはいつでも、自分で始められる。

自分ルール

というお話でした。

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