報・連・相

報・連・相 ~ ホントはそういう意味じゃない

報・連・相

Reporting, Contacting and Consultation

いつのころからだろう、僕が社会人として世に出たとき、いや学生の頃だったか、当たり前のように、この『 報・連・相 』という言葉が社会人の常識として、いろんな大人から聞かされてた。それを聞かされる度に社会人ってメンドくせぇなぁ~って思ったものだ。今回は職場環境というお話。

知らない方のために『 報・連・相 』っていったい何かっていうと、

報告 - 上司の指示命令に対して、その結果を報告する
連絡 - 上司だけでなく、部署内での作業や状況を連絡する
相談 - 独断ではなく周囲に判断を仰いで相談する

それぞれの頭を取って『 報・連・相 』がスムーズな業務遂行にあたって最低限知っておくべきルールとして定着してる。
しかし、僕自身は誰かに対して、この『 報・連・相 』を求めたり、強要した記憶がない。だって考えてみたら、おかしくない?

一見すると当たり前のように感じるが、イチイチこんなことを言われなきゃできない奴が世の中にはそんなに多いのか?って思うのと、そもそもこんなに管理された軍隊の様な環境の中で自主性や独自性が養われるのかと思い、自慢のへそ曲がりを発動して『 報・連・相 』っていつ誰が言い出したことなのか調べたことがある。
どうやら『 ほうれんそうが会社を強くする―報告・連絡・相談の経営学 』( 山崎富治 著 )という本が元ネタとして広まったようだ。

そんな記述はない

夏真っ盛りの暑い時期、サボリーマン時代の僕はクーラーの効いてる場所を求め探し歩き、図書館に辿り着いた時の事、このことを思い出して本を探し出して、涼みながら読み始めた。

ん~…ない…そんな記述…どこにも書かれていない!
みんなが聞かされて、思いこまされている記述がどこにもないのだ。

騙されてた!っていうのを20代の時に知ってたんで、部下ができた時も、独立した時も、フリーランスになってからも、ギルドを立ち上げた後も、他人にそれを強要したことは一度もない。

ただ組織運営をする上で、いつも頭の片隅には置いてあって、職場環境というものを常に考えながら進めるつもりではいる。

誰に向けて、何て書いてあったのか

ではその本には一体なんて書かれていたのか、みなさんも気になるだろう。
かいつまんで言うと、こういうことが書かれている。

人が増えて、組織が大きくなってくると、仕事の進捗も情報の共有も、社員同士のコミュニケーションもままならない。
この状況は会社にとっても働く社員にとってもプラスにはならないので、職場の環境を風通しの良いモノにしなければならない。
社員がどういうことで悩んでいるのか、会社として上司として何ができるのかを健全に適切に進められるように、社員から『 報・連・相 』ができる環境づくりをしなければならない。

ほうれんそうが会社を強くする―報告・連絡・相談の経営学

という趣旨で「ほうれんそう運動」というのをはじめたのがキッカケだと書いてあった。
その本には一つのエピソードとして、会社の福利厚生の仕組みを取り上げ、不満の声が自分にまで届かず、それが原因で女性社員が入社2年で辞めてしまったことを後悔しているという話が載っていた。

つまり、新社会人や学生にビジネスマナーとして植え付けるためではなく、会社や上司にそういう環境づくりをしようねって運動が、いつしか社員の締め付けのように誤って使われちゃったわけだ。

言わないとできない奴って確かに一定数存在するし、最近増えてるような印象もあるのでビジネスマナーとして伝えるのもいいが、本来は組織の経営陣や上司にあたる人に向けて、自身の職場が風通しよく働きやすい職場になっているかどうか、原点に立ち返ってまず総点検するべきだろうと自戒を込めて努めている。

ブラックは明らかに風通しが悪く、空気が淀み、濁っているのは確かだ。
『 報・連・相 』を強要する時点で軍隊的な締め付けの意図すら感じられるので、自発的にそれができる環境って言うだけでホワイトな印象はある。

でも一方で、何でもかんでも上の判断を仰ぐ社員もどうなのか。
自分で判断できず相談相談、イチイチそんなことまで報告も連絡もいらないからって奴が、何年か後に上司になるとしたら空恐ろしい。

どちらもバランスや程度問題なのだろうが、少なくとも組織を率いたり、人の上に立つ者は「ポパイ」のように不死身で力強く、女性に優しい人であって欲しい。

なんでポパイ?って、「ほうれん草」と言えばある年代以上の人はそう思うでしょう?

報・連・相

というお話でした。

~ 本文で紹介された書籍をご紹介 ~

仕事の成果って、「報・連・相」で決まるんです。 「信頼される」「トラブルがなくなる」「評価が上がる」7つのルール (大和出版)