ファースト・ペンギン
First penguins
東京都知事が新会派を立ち上げる際、都知事として初登庁の日に、都庁玄関で出迎えた3人の都議を『 ファースト・ペンギン 』と称賛し、新会派に迎え入れることを発表しました。今回は、先陣は本意か不本意か?というお話。
常に群れで行動するペンギン。エサの獲得にはいつか誰かが海に飛びこまなきゃならない。氷の下には天敵の大型肉食獣が待ち構えているリスクがある。まさに命の駆け引きである。そういう状況下で、最初に飛び込む勇気あるペンギンの事を『 ファースト・ペンギン 』と呼び、勇気ある行動として、しばしばビジネスシーンで使われている。
リスクが分かった上で、誰よりも先に海に飛び込むその勇気は、特攻隊長的で実に格好いい生き様…そう言えば聞こえはいいが、果たしてそのペンギンはホントに自分の意志で先陣を切っているのだろうか。僕は甚だ疑問に思ってる。何故なら、その飛び込む瞬間に、後ろから蹴られてるとも、押されてるとも見える映像を見たことがあるからだ。
考えてみて欲しい。群れの中に頭の回る奴がいるとする。そのペンギンはこう考えるに違いない。
リスクは取りたくない でもたくさん獲物は欲しい
そうだ 誰かに一番手柄はくれてやって 二番目に続いて飛び込めば
リスクを回避しつつ 最大限の収穫にありつける
そうだ 後ろから押し出してやろう
或いは、その群れの実力者が先陣を切ることは考えにくいので、「おまえが行け」と命ずるペンギン、セカンド・ペンギンが居るのではなかろうか。
ファースト・ペンギンが勇ましいと印象付けたのは、あくまで人間が勝手に仕立てたストーリー。つまり、当のファースト・ペンギンは不本意だったかもしれない、と思うわけです。
僕もギルド運営や事業を積極的に仕掛けているわけではないが、しかし少なくとも遣りたいことを遣りたいように遣るためには、自身で事を興すしか方法がないことを経験で知っている。だから仕方なくやってるところはある。誰もやらないなら僕がやると。なので、断じてセカンド・ペンギンに命ぜられて仕掛けてるわけではないことは申し述べておきたい。
自分の意思か?操り人形か?
ただ、都知事の会見での発言を聞き、その後に3人のファースト・ペンギンの会見を見てハッとした。例えば、この状況を俯瞰で見ている奴(セカンド・ペンギン)がいて、そいつが全ての絵図を描いてるとする。まわりは興味があるのに行動しようとしない状況があり、そいつが悪魔の如く、こうささやく。
このままだと機会を逸するよ
誰かが先陣を切らないと これまでの状況は変えられないよ
風はどっちに吹いている?
主導権を握るなら 今でしょ?
そして、様子見をしている周囲の状況に焦れた結果、えぇい!と決断して、初登庁の行動に繋がってるとしたら。(一応念のために、こういった事実はありません)
そして、そいつはこうなることを見越して、タイミングを計ってわからないように合いの手を入れ誘導してくるとしたら… あたかも自分の意志で行動していたかのように映ることも、実はセカンド・ペンギンの掌の上で、いいように転がされていただけかも知れないし、別のところに目的があるのかも知れないので、今やってることは本質じゃないのかも知れない。
そう考えると、自分で飛び込んだつもりでも、実はセカンド・ペンギンに腹で押し出されたんじゃないのか。でもこれもまた、人間が勝手に仕立てたストーリーの一つに過ぎない。
ちょうどこの出来事のあった後に「まさにファースト・ペンギンですね!」ってある雑誌の取材で記者に投げかけられたその言葉に、怪訝そうに苦笑いで複雑な表情になってしまい、結果的に塩対応になってしまったが、こういう思考の持ち主なので許してくれたまへよ。
ファースト・ペンギン
というお話でした。
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ゲツコーギルド合同会社 CEO兼プロデューサー
2016年に東京下町から瀬戸内の離島に移住。クリエイターの働き方や人財育成、再生、地域でのクリエイティブやICTを活用したブランディングや地域創生、事業再生を得意としたプロデュースやディレクションで活躍中。メガネ&広島弁や伊予弁など方言女子が大好物。個人的には懐古的なモノがスキ。ネガティブ属性だがユーモアを忘れない。1970年 江戸下町産。