ベツレヘムの星

ベツレヘムの星 ~ 答えより、旅が先だ

ベツレヘムの星

The Star of Bethlehem

クリスマスのイラストには必ずと言っていいほど、夜空に輝く大きな星が描かれています。それが東方の三賢者が旅の道標にした「ベツレヘムの星」です。しかしその正体は、超新星説・惑星直列説・彗星説など諸説あり、2000年以上たった今も結論が出ていません。答えのない星を目指して旅し続けた賢者たちの話から、今回は 目標とプロセス というお話。

誰も正体を知らない星

紀元前後、東方の賢者たちは突如現れた輝く星を見て、旅に出ました。目的地も距離もわからない。ただ星が「そちらだ」と示す方角に向かって歩き続けたといいます。

その星の正体について、天文学者や歴史学者たちは長い間議論を続けてきました。紀元前7〜6年ごろに起きた木星と土星の惑星直列という説。突然明るく輝いて消える超新星爆発という説。あるいは数年おきに現れる彗星という説。それぞれに根拠があり、それぞれに反論がある。

つまり、誰も正解を知りません。しかし賢者たちは、正体がわからなくても旅に出ました。「何であるか」より「どこへ導くか」を信じたからです。

答えが出なくても動けることが、賢者たちを賢者たらしめた理由だったのかもしれません。

正解を待っていたら、旅は始まらない

Web制作の現場でも、「このデザインの方向性で本当に合っているのか」「このアーキテクチャで将来大丈夫か」「このコンセプトはユーザーに刺さるのか」——答えが出ないまま、動けないことがあります。

もちろん、検証と確認は必要だが、「完全に正しいと確信できるまで動かない」という姿勢は、ほとんどの場合、旅の出発を永遠に先送りする行為に過ぎません。

完璧なリサーチをしてから出発しようとした旅人は、出発できないまま地図を眺め続ける。一方、星を信じて歩き出した賢者は、途中で道に迷っても、立ち止まっても、最終的に目的地に辿り着く。

動くことで見えてくるものが、動く前には絶対に見えない。 これは制作現場で何度も実感してきたことです。

旅の途中で星が変わることもある

ただし、旅には注意が必要なことがあります。それは途中で星が変わることがあるということです。

例えばプロジェクトが走り始めたとき掲げた目標が、途中で変わることがある。クライアントの事業環境が変わることもあれば、ユーザーのニーズが変わることもある。あるいは、作り始めてから「本当に必要なものはこれじゃない」と気づくこともある。

そのとき、最初の星に固執して迷子になるか。それとも新しい星を見つけて軌道修正するか。柔軟に星を乗り換えられることが、長い旅を完走するための秘訣です。

目標は手段であって、目的ではない。ベツレヘムの星が教えてくれるのは、そういうことだと思うのです。

ちなみに…

ちなみに、「ベツレヘムの星」の正体として近年注目されているのが、紀元前2年ごろに起きた木星と金星の超接近です。この二つの惑星が非常に近づいたとき、地上からは一つの巨大な星のように見えたと言います。当時の天文記録とも一致する部分が多く、有力説の一つとされています。

2000年以上も議論されても答えが出ない謎が、夜空に残り続けている。それもまた、クリスマスの星が持つ魅力なのかもしれません。

ベツレヘムの星

というお話でした。

~ 本文で参考にした書籍をご紹介 ~

(参考・出典)