参加することに意義がある
Meaningful to Participate
今年はオリンピックイヤー…でした。コロナ禍でお忘れかも知れませんが、延期されたもののオリンピックの開催年でした。「参加することに意義がある」。誰もが一度は耳にしたことのあるフレーズですが、このフレーズの本当の意味を知っている人は意外と少ない。負けた人への慰めでも、負け惜しみの免罪符でもない。今回は 参加の意義 というお話。
使われ方が、なんか違う
このフレーズには、なんとなく子どもにかけてあげる慰めの印象がある。たとえば運動会でいい結果が出せなかったとき、試験に合格できなかったとき、元気出せよ!という意味で使われるイメージ。
しかし、使う場面が間違ってやしないかという違和感はずっとあった。僕自身も使ったことがあるかもしれないし、みなさんも経験があるかもしれない。そこで、このフレーズの原点にあたってみた。
タルボット主教の説教
このフレーズの原点はオリンピックだということはご存じだろう。では実際、どんな背景やシチュエーションで生まれた言葉なのか。
米聖公会主教 エセルバート・タルボット(米: Ethelbert Talbot、1848年10月9日 – 1928年2月27日)が、1908年にロンドンのセント・ポール大聖堂にオリンピック選手団を招待し、説教したときの言葉がこのフレーズだ。
that the Games themselves are better than the race and the prize.
そのオリンピック自体がレースや賞よりも優れているということである
only one may wear the laurel wreath, all may share the equal joy of the contest.
月桂樹の花輪を身に着けるのはたった1人ですが、誰もが試合の喜びを分かち合うでしょう
参考:Wikipedia(Ethelbert Talbot)
第4回のこのロンドン大会は、当時世界に君臨していたイギリスと、急速に国力を伸ばしていたアメリカが互いをライバル視して険悪な関係にあった。そのため、アメリカ選手団に随行していたタルボット主教が、両国の緊張を和らげるべく語ったとされている。
しかし、みんなの知っているフレーズではないですよね。意訳としてもちょっと遠すぎる。
クーベルタン男爵が世界に広めた
このエピソードにはもう一人、これを広めた人がいる。フランスの教育者 クーベルタン男爵シャルル=ピエール・ド・フレディ(仏: Charles-Pierre de Frédy, baron de Coubertin, 1863年1月1日 – 1937年9月2日)、その人である。近代オリンピックの基礎を築き、IOCの初代会長でもあり、五輪マークの発案者でもある。
クーベルタン男爵はタルボット主教の説教に感銘を受け、各国のオリンピック関係者を招いた晩餐会でこう語った。
The most important thing in the Olympic Games is not to win but to participate. Likewise, the most important thing in life is to encourage, not to win. What is essential is not being a winner but a fighting fight.
オリンピックで最も重要なことは、勝つことではなく参加することである。同様に、人生において最も重要なことは、勝つことではなく奮励努力することである。肝要なのは、勝利者になったということではなく健気に戦ったということである。
このこのセリフが『クーベルタン男爵の演説』として有名になり世界に広まってしまい、キャッチーな「参加することに意義がある」が生まれたのです。
参加の意義とは
つまり、敗者を慰める言葉でも、負け惜しみを擁護する言葉でもないということです。慰めや落ち込んだ人に寄り添うことは大切だし、それを否定するわけではありませんが、本来の意味からすると、引用するには少し違和感がある。言われた方も納得できるとは思えない。
では「参加する」とはどういうことなのか。ある活動に誘われて、その場になんとなく居たらそれは「参加」なのか。行動を共にして、役に立ってこそ「参加」ではないのか。
また、役に立つというのも誤解されがちだが、みんなが主力として戦えと言っているわけではないでしょう。そりゃそうできれば活動は加速しますが、得手不得手はあるでしょう。あくまでできる範囲で行動することが「役に立つ」ということでしょう。
たとえばデザインやコーディングでバリバリ制作を進められるなら万々歳だが、チームの安定感は主力だけではつくれない。バックオフィスや運用サポート、SNSでの情報発信、問い合わせ対応や営業など、バランスの取れた総合力があってはじめて安定感が出る。そのため、つまりは自分のできることで貢献することが「参加」だと、制作ギルドとしては定義づけています。
クーベルタン男爵は晩餐会の席でこんなことも語っています。
Knowing self, self-limiting, overcoming self, this is the duty of the athlete, it is the most important thing.
自己を知る、自己を律する、自己に打ち克つ、これこそがアスリートの義務であり、最も大切なことである
自分のスキルを正確に把握して、向き合うこと。これはクリエイターにも通ずるものがあります。
ちなみに…
ちなみに、五輪の5つの輪は5つの大陸を表し、”World” の「W」を模しています。また輪は「和」に通じます。制作ギルド「キユリアス:」(Qrious)のロゴマークも的(ターゲット)を模し、組織や外の人との「和」を表現しています。オリンピックの精神でワールドワイドに、「和」をもって制作ギルドに参加するクリエイターが集まる集団でありたいものです。
参加することに意義がある
というお話でした。
~ 本文で参考にした書籍をご紹介 ~
(参考・出典)

ゲツコーギルド合同会社 CEO兼クリエイティブ・コンサルタント
約30年ほど前、インターネットの黎明期から企画・マーケティング、システムやネットワーク開発など、文字通りWEB業界を創ってきました。徐々に大規模プロジェクトが増えたことに伴い、プロデュースやディレクション、コンサルティング、マネジメントを求められるようになり、東日本大震災をきっかけに、フリーランスの地位向上と働き方の創出のために制作ギルドを創立。配信やセミナーなど育成や再生も開始し、デザイナーやコーダーはもちろん、ディレクターやプロデューサーも数多く輩出しています。