鶏が先か卵が先か

鶏が先か卵が先か ~ クリエイターのジレンマ

鶏が先か卵が先か

Chicken or egg problem

検討や議論の時などに良く耳にするフレーズ。正直どっちでもいいんじゃない?ってケースがほとんどで、やらない口実として有耶無耶にしようという魂胆が丸見え。もちろん生物学的や哲学的な小難しい話はしない。ジレンマ(Dilemma)のお話。

あるクリエイターが、これまで働いていた制作会社を辞めてフリーランスになると決めた。 そのクリエイターは、運よく知り合いや今までの付き合いで仕事をもらう事ができたので、会社員だったころの人間関係や時間的制約に縛られることなく、精神的に落ち着いた環境でフリーランスとしては上々のスタートを切ることができた。 以来、これまで築き上げてきた関係性でクライアントをどんどん増やし、関係を広げ、どうにかこうにか収入を確保できるようになった。

好きなことを仕事にして生活していけるのだから、フリーランスの滑り出しとしては大成功と言えるだろう。
実際、ここに辿りつける人はそれほど多くはない。

でも、その成功しているはずのフリーランスは、どういうわけか現状に満足していない。それどころか寧ろ不安すら感じているようだ。なぜだろう。

知り合いやその知り合いの紹介は安い単価でしかも短納期。 割に合わない仕事でフリーランスではなくフリーターのようにコキ遣われる。 数をこなさなきゃ生活できないし、遣りたいこととは大幅にズレてるし、自分の時間も無くなるし、毎日仕事に追われるし、そんな案件でも請けてるけど勤めてた時とはまた別のストレスでやられそう。 どこかでこの悪循環を断ち切りたいが、どうしたらいいんだろう。

働き方を変え、不安定ながらも収入を確保し、仕事も定期的にもらって一応フリーランスとして成り立ってはいるものの、果たしてこれが自分が目指していたものなのか、求めていたものなのか。
予定している創作活動が全くできていない現状を、とても手放しでは喜べない。

これってクリエイター?

つまり、フリーランスとしてのスタートは切れたがクリエイターとしてどうなのかというジレンマ。
それどころか、ホントにこれがフリーランスなのか、社畜から家畜になって、よりコキ遣いやすくなってるだけなんじゃないか。そういう疑念さえ抱くようになる。

創作活動が出来てないのはクリエイターとしては大きな問題。
鶏と卵のように、フリーランスとしての成功が先か?クリエイターとしての成功が先か…

例えば、フリーランスとして制作実績を積み重ねていった先に、夢や目標を達成させるという考え方もあるでしょうし、クリエイターとして評価される成果物や華麗なる実績を引っ提げてフリーランスとして華々しくデビューするって考え方もあるでしょう。

どちらが正しくて、どちらが間違ってるという類のものじゃなくて、自身にとって何が最善なのかであって、置かれている状況によっては事前に準備ができないままフリーランスになることだってあるし、実績ができるまで待っていても一向に成果物が揃わず悶々としてるって人も少なくないと思います。

決して現状に満足していないが、その結果に納得しているかどうか、許容できる範囲かどうかがまずは重要で、許容範囲でまぁ納得できているのであれば、卵を温めて孵せばいいし、許容も納得もしてないのであれば鶏として動き回る必要があるのかもしれません。

フリーランスやフリーランスを目指すクリエイターに問われているのは、それによって、鶏として衝撃的にデビューするか、卵を温めて温めて孵ってから満を持してデビューするかを自身で決めるってことなんだろうと思うのです。

別の機会に、このジレンマを解消できるかもしれないヒントをご紹介しようと思います。

ちなみに、生物学上は鶏が先か?卵が先か?には正解があるようで、鶏が先だそうです。鶏しか持っていない特定のタンパク質があって、鶏でなければ鶏に成長する卵は産めなのが理由なんだって。

鶏が先か卵が先か

というお話でした。