天文学者
Astronomer
フリーランスやクリエイターにとって、これから先のことを考えると不安だらけになる瞬間があります。それを打ち消すのは明るい未来という妄想。夢や希望、目標。しかし遠い夢ばかりを妄想していると文字通り落とし穴が待っている。バランスというお話。
つい最近、イソップ寓話に出てくる『 天文学者 』という話を目にした。が、この話、普段から気に入らないと思ってる人にイヤミを言うだけの話。 思わず何度も読んでるうちに、ある思いが浮かんできた。
ある天文学者は、夕方にいつも出かけて星を観察することを習慣にしていた。ある日、すっかり空に気をとられていた天文学者は、うっかり井戸へ落ちてしまった。
「おーい、助けてくれ。何とかしてくれ」
と泣き叫んでいると、通りかかった人がその声を聞きつけて井戸を覗いてみる。すると、天文学者が井戸の底に落ちていたのを目にしてこう言った。 「これはこれは学者さん、あんたは空にある物はよく見えるのに、地面にある物は見えなかったのかい」
イソップ寓話『 天文学者 』より
天文学者は普段、自分は大きな事をやっていると得意になって威張り散らすくせして、毎日の暮らしの中のごくごく当たり前の事が出来ないのか?という、皮肉たっぷりな話だ。
何かに突出した芸術家タイプに多いね、こういう人。普段偉そうなことを言っちゃってるけど、人としてはダメダメみたいな。要するに傍から見るととってもバランスが悪い。 そういった日常に頓着しない人だからこそ、専門分野では驚くような能力を発揮して発見や発明などの成果をあげられるのかもしれません。
近くの現実と遠くの未来
星空ばかり眺めている天文学者は足元の井戸に気付かなかった。仮に星空を目標や夢、希望に置き換えて考えてみよう。
あるクリエイターは、時間ができるといつも目標や夢について思いを馳せて妄想していた。ある日、遠い夢や目標に一日も早く辿りつくために邁進していると、うっかり目の前にある問題に気が付かずにトラブルに巻き込まれてしまった。
「おーい、助けてくれ。何とかしてくれ」
と泣き叫んでいると、通りかかった別のクリエイターがその声を聞き駆けつけて事情を聴いた。
そして、そのクリエイターはこう言った。
「これはこれはクリエイターさん、あんたは遠い夢や希望はよく見えるのに、目の前にあるトラブルや問題は見えなかったのかい」
ゾッとしたでしょ。字面だけ見ると夢見がちの人みたいに見える。
人が成長する上で夢や目標は大きなモチベーションとして必要不可欠。しかし、その夢や目標を達成する道程は、今現在立っている道の延長線上にある。
だとしたら、遠い先だけを見ているのではなく、目の前の状況や自分が成し遂げるべきミッション、問題点の修正などを行わない限り、夢や目標まで達成することはない。
今やるべきことと夢や目標をバランスよく保ち続けることが明るい未来に一番の近道なのかもしれないと、ふと考えさせられました。
天文学者
というお話でした。
~ 本文で紹介された動画をご紹介 ~
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ゲツコーギルド合同会社 CEO兼プロデューサー
2016年に東京下町から瀬戸内の離島に移住。クリエイターの働き方や人財育成、再生、地域でのクリエイティブやICTを活用したブランディングや地域創生、事業再生を得意としたプロデュースやディレクションで活躍中。メガネ&広島弁や伊予弁など方言女子が大好物。個人的には懐古的なモノがスキ。ネガティブ属性だがユーモアを忘れない。1970年 江戸下町産。