ツークツワンク

ツークツワンク ~ 逃げられない局面

ツークツワンク

zugzwang

どちらを選んでも、何かを失う気がする。決断を先送りにしたくなることもある。そんな場面が、仕事でもプライベートでも少なからずあります。避けて通ることもできそうですが、結局は回り道をしただけで振り出しに戻ったり、状況をさらに悪化させることさえあります。今回は 決断の時 というお話。

逃げ場のない強制力

チェスはパスができないってご存知ですか。自分の番が来たら、必ず駒を動かさなければならない。たとえそれが自分にとって不利となる悪手であってもです。そういう状況に追い込まれることを、ドイツ語で「差し迫った状況」という意味のツークツワンク(Zugzwang)と言います。

チェスの盤上だけの話ではなく、人間関係でも、仕事でも、気づいたら「どうしても動かさなければならない」場面に追い込まれることはあります。例えば明確な返事を避け続けた結果、もう無視も後戻りもできない状況になった経験ありませんか。

ツークツワンクが厄介なのは、追い込まれた側が自分から動かざるを得ないという点です。主導権は相手にある。だからこそ、そうなる前に盤面をコントロールしておく必要があります。

チェス盤を支配する

では、どうすればいいか。チェス盤が複雑化する前に、自分に有利なルールで場を支配しておく必要です。ビジネスの場で主導権を握るための、3つの手立てを考えてみましょう。

ツークツワンクという事態に追い込まれないようにするためには、チェス盤が複雑化する前に、自分に有利な「ルール」で場を支配してします必要があります。ビジネスの場で、主導権を握るために3つの手立てを考えてみましょう。

  1. 「初期配置」の徹底的な最適化(要件定義という名の防御)
    プロジェクトの序盤で、悪手になりそうな不確定要素を潰しておくこと。「なんとなく」で進めた曖昧さが、終盤で自分を追い詰める最強の敵駒になる。要件定義は防御の一手。
  2. 相手に選択肢を与える
    ただ指示を待つのではなく、こちらから先にあえて高いハードルを見せ、本命の着地点へ誘導する。これにより、相手の指し手をこちらがコントロールする側に回れる。
  3. 「パス」の代わりに「時間を買う」駒を持っておく
    ルール上パスはできない。しかし、展開を膠着させたりリスクを分散させるためのバッファ(時間や予算の余白)を持っておけば、差し迫った決断のタイミングを自らズラす調整はできる。

結局のところ、ツークツワンクに陥るのは、準備不足を積み重ねた結果に過ぎないのです。

ちなみに…

ちなみに、チェスのルールが教えてくれるのは、「停滞は許されない」という冷酷な事実であると同時に、「動けば局面が変わる」という希望でもあります。

自分のコマを犠牲に局面を打開するサクリファイス(Sacrifice)や、一手で相手の複数の駒を同時に攻撃するフォーク(Fork)といった手によって次の局面を引き寄せる。その決断の連続こそが、クリエイターを成長させる道筋に似てるなぁと僕は感じます。

もちろん、どれだけ準備をしても「どうしても引き分け(ステイルメイト)に持ち込むしかない」なんてこともありますが……それはまた、別の機会にお話ししましょう。

ツークツワンク

というお話でした。

~ 本文で参考にした書籍をご紹介 ~

(参考・出典)