レゾンデートル

レゾンデートル ~ 自分らしく生きるために

自分らしさを支える、人生の軸。

Raison d’être: Live as Yourself

家族との時間を大切にすること、困っている人に声をかけること、好きなことに夢中になること。そんな何気ない行動や心が動く瞬間に、自分らしく生きるヒントは隠れています。誰かの期待や世間の正解に合わせるのではなく、自分が本当に大切にしたいものを見つめ直すことで、日々の選択に少しずつ確かな軸が生まれていきます。今回は、身近な暮らしの中から自分の価値観を見つけ、「人生の軸を育てる」…というお話。

レゾンデートルとは

「レゾンデートル(raison d’être)」は、フランス語で「存在理由」や「存在意義」を意味する言葉です。単に「何のために生きるのか」という大きな問いだけではなく、自分がなぜその仕事を選び、なぜその表現をつくり、誰にどのような価値を届けたいのかを考えるときにも使われます。

クリエイターにとってのレゾンデートルは、必ずしも有名になることや、代表作を残すことではありません。クライアントの曖昧な要望を整理して形にすること、見る人の心を動かすこと、使う人の行動を少しだけ変えること。あるいは、まだ言葉になっていない課題を見つけ、デザインや文章、写真、映像、コードによって解決へ導くこと。その仕事を通して「自分は何を生み出したいのか」「誰の役に立ちたいのか」という答えが、クリエイターとしての存在理由になります。

たとえば、目立つ表現で注目を集めたい人もいれば、情報を整理して誰もが迷わず使えるものをつくりたい人もいます。新しい技術で未知の表現に挑戦したい人、地域や社会の課題に向き合いたい人もいるでしょう。どの方向が正解ということではありません。自分が制作を続ける中で、特に心が動く瞬間や、妥協したくないと感じる部分に、レゾンデートルの手がかりがあります。

つまり、レゾンデートルとは、作品や肩書きの外側にある「自分はなぜつくるのか」という問いへの答えです。その答えは最初から明確でなくても構いません。日々の制作や誰かとの対話を重ねながら、自分の価値観と仕事の意味を少しずつ結びつけていくことが大切です。

他人の評価と、自分の制作哲学

クリエイターとして活動していると、SNSやポートフォリオサイトを通じて、同業者の華やかな実績や洗練された作品が目に入ります。受賞歴、大型案件、フォロワー数、最新ツールの活用例などを見て、「自分ももっと結果を出さなければ」と焦ることもあるでしょう。

他人の作品から刺激を受けることは、成長のきっかけになります。しかし、比較が続くと、いつの間にか自分の価値を他人の基準で測るようになってしまいます。本来、クリエイターの価値は、目立つ実績だけで決まるものではありません。クライアントの意図を正確にくみ取ること、見る人の行動を考えて設計すること、チームが円滑に動けるように情報を整理することも、重要なクリエイティブです。

「自分は何をつくりたいのか」だけでなく、「誰に、どのような変化を届けたいのか」と考えてみましょう。見た人の感情を動かしたいのか、複雑な情報をわかりやすく伝えたいのか、誰かの挑戦を後押ししたいのか。その答えを少しずつ言葉にしていくことで、制作物や仕事の選び方に、自分だけの一貫性が生まれます。

制作哲学とは、難しい理論や立派な理念である必要はありません。「わかりやすさを大切にする」「相手の言葉にならない思いを形にする」「長く使われるものをつくる」といった、自分なりの判断基準です。その基準があると、流行や周囲の評価に迷ったときにも、自分の方向へ戻りやすくなります。

レゾンデートルは、経験とともに

クリエイターとしてのレゾンデートルは、一度見つけたら変わらないものではありません。駆け出しの頃は、デザインスキルやコーディングなどの技術を身につけること、実績を増やすことが大きな目標になるでしょう。経験を重ねるにつれて、表現の美しさだけでなく、成果や使いやすさ、チームとの協働を重視するようになることもあります。

たとえば、以前は自分のアイデアを作品に反映させることに夢中だった人が、やがてクライアントやユーザーの課題を解決することに喜びを感じるようになることがあります。反対に、ディレクションや管理の仕事を経験した後、もう一度、自分の手でつくる時間を大切にしたいと思うこともあるでしょう。どちらも、クリエイターとしての成長や変化の一部です。

また、デザイン、文章、写真、映像、イラスト、プログラミングなど、担当する領域が変われば、届けられる価値も変わります。独立や転職、マネジメント、教育など、新しい役割を選ぶことで、自分の存在理由が別の形で見えてくる場合もあります。

仕事や進路に迷ったときは、「この案件を通して、誰のどんな課題を解決したいのか」「この制作を終えたとき、自分は何を得たいのか」と問いかけてみましょう。目の前の案件をただ消化するのではなく、一つひとつの仕事を自分の経験や哲学につなげていくことが、長くつくり続ける力になります。

レゾンデートルは、完成した肩書きではありません。日々の制作、失敗、対話、学びの中で更新されるものです。だからこそ、今の自分にしっくりくる答えを大切にしながら、変化した自分に合わせて何度でも問い直してよいのです。

ちなみに…

ちなみに、この「レゾンデートル(存在理由)」という言葉は、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』でも「僕がここにいてもいい理由」というテーマとして象徴的に描かれています。

「他人に認められるため」「役割を果たすため」だけに自分の存在価値を依存させてしまうと、その役割を失った瞬間に心が折れてしまいます。他者からの評価に100%依存するのではなく、自分自身で自分の存在を肯定できる軸を持つことが、折れない心を作るポイントです。

レゾンデートル

というお話でした。

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(参考・出典)